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授業の内容(Course Description) |
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アメリカのサブプライムローンに発した金融危機は、ヨーロッパ、日本、新興国に波及し、世界各国の実体経済が同時かつ急速に縮小する世界経済危機になった。日本経済は一足先にバブル拡大・崩壊・長期低迷を経験した後回復し始めていたが、輸出依存だったため再び危機に陥った。世界経済、日本経済が危機を脱して新たな成長を目指すためには、国民1人1人が、世界経済、日本経済はなぜ危機に陥ったのか、どうすれば脱出できるのか、危機を繰り返さないためにはどうすればよいのか、考えを深める必要がある。特に世界経済危機で各国がとろうとしている経済政策は、日本がバブル崩壊のときにとった経済政策とそっくりであり、日本の経験を知れば、世界の今が理解しやすくなる。 このような観点から、この授業では、20世紀後半以降、特に1980年代半ば以降のバブル発生・崩壊、長期低迷において日本はどのような経済政策をとったのか、経験を振り返りながら、理論的な枠組みにより分析を深める。 理論的には、①日本経済がマクロモデルで想定しているよりも複雑な動きをしたからではないか、という行動メカニズムの問題と、②マクロ経済政策が一部の利益に引っ張られて政治的に歪められたからではないか、という決定メカニズムの問題がある。 この授業では、まず20世紀後半以降の日本の経済政策の流れを振り返った後、②の決定メカニズムの問題として、日本の経済政策は危機にならなければ実行されないという特徴があり、これをゲームの理論により四幕劇として定式化し分析する。世界経済危機は、日本のバブル崩壊不況とそっくりの経路をたどっており、日本の経済政策の経験を知れば、世界の今が分かるようになる。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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世界経済危機、日本の経済危機について、日本の経済政策の経験に基づいて、自分の見解が述べられるようになること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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テスト100%。 テストは、授業をまじめに受け、家で勉強し、最低限必要な知識(MR)を身につけ、自分で考える力(自分流)を身につけたかどうかをみる。出席しなければ単位はとれない。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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小島 祥一『なぜ日本の政治経済は混迷するのか』(岩波書店、2007年1月) 小島 祥一「日本の経済政策過程---その堂々巡りのメカニズム」 『帝京経済学研究』第38巻第1号所収、2004年12月
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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世界経済危機、日本の経済危機について、ユニークな発想を自らも試みてほしい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 第1章 20世紀後半以降の日本の経済政策・概観 1.敗戦、戦後復興、高度成長 【第2回】 2.円高ショック、石油ショック 【第3回】 3.バブル発生・崩壊・長期低迷 【第4回】 4.6大改革、橋龍不況、積極財政 【第5回】 5.小泉改革、ポスト小泉、二大政党 【第6回】 6.世界経済危機の現状 【第7回】 第2章 日本の経済政策ゲームの四幕劇 1.四幕劇の構造 2.ODA3年倍増計画 【第8回】 3.黒字べらしと日米経済摩擦 【第9回】 4.バブル崩壊不況 【第10回】 5.橋龍不況 【第11回】 6.不良債権処理①パート1 【第12回】 7.不良債権処理②パート2 【第13回】 8.デフレ対策 【第14回】 9.構造改革 【第15回】 10.世界経済危機における経済政策
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