1. |
授業の内容(Course Description) |
|
21世紀中国経済体制は基本的に200年前の東アジアにおける中華帝国システムの再現に向かいつつあるように見える。つまり、中国経済は中華新経済システム(社会主義市場経済+WTO開放体制)の成立を機に、2007年にはGDP世界第3位、貿易総額第3位に躍進し、アメリカ、EU、日本に次ぐ世界4極の1つとして登場してきた。そしてASEANやインドとの自由貿易交渉の開始によって、中国周辺との経済的結びつきを強化している。18世紀の中華帝国の「朝貢貿易システム」の再現の観を呈している。 本学期はまず18世紀中国の中華帝国システムの東アジア国際大系をまずおさえ、それが19世紀に周辺経済に転化していく過程を追及する。それを踏まえて、中華人民共和国の経済発展過程を扱う。特に経済発展戦略と蓄積様式の特質に着目し、改革開放時期を中心とする。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
中国経済を世界的な経済発展の歴史の中に位置づけ、その意義を理解させること。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
レポートによる。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
テキスト:高橋 満『中華新経済システムの形成』(創土社、2004年10月) 参考文献:濱下 武志『近代中国の国際的契機』(東大出版会、1990年9月) A.G.フランク、山下 訳『リオリエント』(藤原書店、2000年5月)
|
5. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
授業中議論に参加する態度が望ましい。
|
6. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 中国経済の世界経済における位置 ─新中国モデルの位相 【第2回】 中国経済論の方法① マルクス、ウォーラーシュティン、フランク 【第3回】 中国経済論の方法② 段階論と新制度論 【第4回】 中国経済の周辺化─日清戦争の歴史的意義 【第5回】 中国周辺経済の構造 ─(半)植民地・半封建制論の再検討 【第6回】 孫文の三民主義と毛沢東の新民主主義論 【第7回】 中華人民共和国の初期条件と長期経済パフォーマンス 【第8回】 中国社会主義計画経済の形成とその特徴 【第9回】 中国社会主義の歴史的位相 ─社会主義的原始蓄積 【第10回】 毛沢東の経済発展戦略─大躍進と文革 【第11回】 改革開放政策への転換 【第12回】 社会主義市場経済への道 【第13回】 WTO開放体制の形勢 【第14回】 世界経済大国中国の登場 【第15回】 総括:中国経済の課題
|