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授業の内容(Course Description) |
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旅は人類の誕生とともにあるといえるが、多くの人が安全、快適、そして安価に観光目的の旅行を楽しめるようになるのは、鉄道の誕生以降であり、鉄道の登場をもって近代ツーリズムの誕生とされます。それ以前の旅については、近代ツーリズム誕生の背景となった歴史状況の説明にとどめ、19世紀半ばの英国に誕生した近代ツーリズムが、様々な関連産業を派生させつつ、社会現象として注目され、巨大化していく経過を概観します。 こうして主としてヨーロッパの観光産業の発展の跡をたどりつつ、随時春期に学んだ「日本観光史」の内容と欧米の観光史とを対比し、日本の観光産業の特性や当面する問題をもあらためて考察します。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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鉄道の誕生が近代ツーリズムを誕生させ、新しい関連産業を生み出して行く過程を学びます。ついで、1936年に連続有給休暇が法制化されて労働者を含むマスツーリズムの時代が到来し、第二次世界大戦後、航空機のジェット化と大型化によって国際観光が大発展する過程を、主として産業史として理解します。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験80%、平常点(出席状況)20%の配分で評価します。出席確認は2回に1回程度不定期に行なう小テストによります。この小テストは出席確認のみならず、講義に関連するテーマを随時取り上げて講義内容を補い、かつ、受講者の意見・感想を求めるものです。小テストの成績は直接成績評価とは関連しませんが、一部平常点に加味することがあります。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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*テキスト:適宜プリントを配布します。 *参考文献:授業において適宜紹介します。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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小テストの末尾の「教師への通信」欄に質問やコメントを積極的に記入することを奨励し、これが授業の新しい展開やディスカッションにつながることを期待します。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 授業の方針、講義の概要 【第2回】・【第3回】 *近代ツーリズム以前( ~1830): ・18世紀のヨーロッパ:産業革命とフランス革命 ・グランドツアーの時代 ・交通の発展(馬車とターンパイク) 【第4回】~【第6回】 *近代ツーリズムの誕生と観光産業の始まり(1830~1936)(1) ・旅客鉄道の誕生 ・観光関連企業の発展(海浜リゾート、ガイドブック、旅行業、など) ・宿泊産業発展略史 【第7回】・【第8回】 *近代ツーリズムの誕生と観光産業の始まり(1830~1936)(2) ・トマス・クックと旅行業の発展 ・国際観光の支払い手段(トラベラーズチェックとクレジットカード) ・レジャーの発展(万国博覧会、スポーツとオリンピック、自転車の発明と発展、など) ・観光行政の誕生 【第9回】・【第10回】 *マスツーリズム時代の到来とソーシャルツーリズム(1936~1970) ・有給休暇法の成立と勤労者階級のツーリズム参加 ・ソーシャルツーリズム運動とその成果 ・交通の発展:マイカーの時代、航空機の発展 【第11回】・【第12回】 *大量観光の時代(1970~ ) ・航空輸送と観光 ・観光政策の展開 ・観光のマイナス効果の顕在化 【第13回】 *環境と観光 *テクノロジーと観光 【第14回】 *世界観光の将来展望 【第15回】 *総括
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