Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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行政法C
(行政法 II)
八木 欣之介
選択  2単位
【法律】 09-1-1210-0682-05

1. 授業の内容(Course Description)
 現代においては、国民の安全や福祉の実現、教育や科学技術の振興、経済の発展や道路・公園等の建設など、行政が果たす役割は、きわめて広範囲に、かつ、国民生活の隅々まで拡がっている。そのように増大する行政活動をコントロールするための法システムが非常に重要になってきている。
 行政活動をコントロールするシステムのうち、行政を事後的にコントロールし、行政により不利益を受けた国民を救済する制度が「行政救済法」である。行政救済法は、大別して、行政活動によりこうむった国民の損害を補填する国家補償制度と、違法な行政活動に対してその是正を求める行政争訟制度とに分かれる。
 今学期の行政法Cでは、国家補償制度について授業を行うものとする。
 この国家補償制度には、違法な行政活動による国民の損害を賠償する国家賠償法と、適法な行政活動に伴い生じた国民の損失を補填する損失補償法とがある。この2つは、異なる沿革から生まれ、別々の理論に基づいて行われているものであるが、それらを統一的に理解し、更にそれらの谷間に当たる国民の被害の救済を図る新しい理論の可能性が、これからの課題と思われる。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 国家補償法の体系と国家賠償や損失補償等の具体的な事例を学ぶことにより、行政法の目的である行政活動に対するコントロールのあり方について、理解を深めることを目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末試験による。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:曽和 俊文・山田 洋・亘理 格 著『現代行政法入門』(有斐閣)
 なお、随時に判例等の資料を配布する予定である。
 参考書としては、次のものを挙げておく。
      原田 尚彦 著『行政法要論(全訂第六版)』(学陽書房)
      塩野 宏 著『行政法 II(第四版)』(有斐閣)
      芝池 義一 著『行政救済法講義(第3版)』(有斐閣)
      塩野・小早川・宇賀 編『行政判例百選II(第5版)』(有斐閣)
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 学生諸君と質疑応答等を行いながら授業を進めたいと考えているので、積極的に授業に参加してほしい。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 行政救済法の体系と国家補償法
【第2回】
 行政に対するコントロールの手法
【第3回】
 国家賠償制度の沿革
【第4回】
 違法な公権力の行使による賠償責任
 (国家賠償法1条)(1)
  ―総説・賠償責任の要件
【第5回】
 違法な公権力の行使による賠償責任
 (国家賠償法1条)(2)
  ―賠償責任の要件(つづき)
【第6回】
 違法な公権力の行使による賠償責任
 (国家賠償法1条)(3)
  ―権限不行使による責任
【第7回】
 違法な公権力の行使による賠償責任
 (国家賠償法1条)(4)
  ―立法機関・司法機関の賠償責任
【第8回】
 営造物の設置・管理の瑕疵に伴う賠償責任
 (国家賠償法2条)(1)
  ―総説
【第9回】
 営造物の設置・管理の瑕疵に伴う賠償責任
 (国家賠償法2条)(2)
  ―水害と賠償責任
【第10回】
 国家賠償責任の主体
【第11回】
 損失補償制度(1)
 ―損失補償の概念と根拠
【第12回】
 損失補償制度(2)
 ―損失補償の要件
【第13回】
 損失補償制度(3)
 ―損失補償の内容と手続(土地収用法を例に)
【第14回】
 国家補償の谷間の救済
【第15回】
 総括―今学期のまとめ