Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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日本史特殊講義4A− I 南  啓治
選択必修  2単位
【史】 09-1-1340-0511-09

1. 授業の内容(Course Description)
 テーマ:寛政の改革の光と影
 江戸時代、宝暦・天明期(1751~1788)幕府政治を担った田沼意次政権はさまざまな新しい政策を実行したが、商業資本にその財源を求めたこと、また、藩の枠を越えての経済の全国統制策を強化したことなどにより、多くの譜代大名の反感を買った。さらにこの時代に頻発した天明の大饑饉や浅間山の大噴火などの自然災害は、生活基盤の弱い農民や都市の零細市民の生活を圧迫したため、各地で一揆や打こわしが続発し、これらによりついに田沼政権は崩壊し、幕府は未曽有の深刻な危機に直面した。
 このような状況の中で幕府政治再建のために登場したのが松平定信政権であり、また彼を中心に展開された改革が有名な寛政の改革であるが、近年この改革の実相についての研究もかなり進んできた。そこで本講義では、この松平定信政権が断行した寛政の改革について、また、松平定信という人物についても検証を試みたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 江戸時代の三大改革の一つ、寛政の改革の諸政策を通して、幕藩体制の動揺と、その建て直しの努力と方策を具体的に理解できたか。また歴史上の有名人物である松平定信の政治家としての評価を考えることができたか。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 学期末に実施するペーパーテストにより成績評価(90%)するが、その際毎回講義時に出席用紙を配布してとる出欠の状況(10%)をも考慮する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは使用しない。史料・参考文献はその都度紹介。
 主要参考文献:渋沢 栄一 著『楽翁公伝』(岩波書店)。徳富 蘇峰 著『近世日本国民史・松平定信時代』(講談社学術文庫)。藤田 覚 著『松平定信』(中公新書)。竹内 誠「寛政改革」(『岩波講座・日本歴史近世4』所収論文。)など。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 本講座の全体的ガイダンス
【第2回】
 近年の江戸時代研究の動向
【第3回】
 テーマに関する研究史と主要参考文献案内
【第4回】
 寛政の改革の前段階~宝暦・天明期の政治的諸矛盾
【第5回】
 松平定信の出自と家系
【第6回】
 松平定信老中への道
【第7回】~【第14回】
 寛政の改革の諸政策
【第15回】
 春期講義のまとめ