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授業の内容(Course Description) |
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政治学に政治学概論があり、経済学に経済原論があるのに、史学にはなぜそれにふさわしい史学概論がないのであろうか。現実にあるのは多くが歴史家やその作品の解説を通じた歴史研究の実践や日本における戦前戦後の歴史学の論争と国家権力との対立関係等をめぐる特定のイデオロギーの短絡的な押し付けであって、史学が社会科学なのか、人文科学なのかの説明すらない。まして史学固有の問題である時代区分、紀年法、研究法、歴史観...などについては断片的な説明しかされていないことが多い。その理由の一つはやはり史学なるものが“鵺(ぬえ)”のような存在で、正体不明の代物(しろもの)だからなのであろう。史学には、物語的、主観的な歴史から、実証的、客観的な史学、さらには教訓的、告発的史学までさまざまなタイプがあるが、そのどれもが時代的には一定の重きを置かれながらも、学会全体で支配的になることはなかった。 以下で進める史学概論は個人的な試論の域をでないものであることを予め了解されたい。担当する私は西洋史学(フランス史)を専門とする研究者なので、ヨーロッパにおける史学を事例にして私なりの史学概論を構築してお話しするが、諸君は授業中自分が専攻しようとする分野では、その話をどう扱うべきか、どう考えるべきか、なにに相当するかを考えてもらいたいと思っている。その意味では、特に日本史、東洋史の専攻者に聞いてもらいたいと考えている。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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少なくとも、史学の学問的領域を理解し、現在西洋史学では何が問題になっているか、その主要な課題を理解するところまで到達したい。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席については私に履修カードを提出し、全体で出席点呼回数の50%以上を出席しないと、期末試験の受験資格は発生しません。受験資格なしに受験してもR評価になります。試験は筆記試験です。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは使用しません。参考文献は適宜紹介します。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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欠席・遅刻の多い人には向かない授業です。私が出席点呼を取った際にいなければ欠席で、遅刻扱いはありません。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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担当者には一応の計画はあるが、細部は未定である。現時点(1月)では、概略だけにとどめる。 【第1回】 ガイダンス 【第2回】~【第5回】 歴史の記述と理論 【第6回】~【第9回】 歴史の歴史 (I) 【第10回】~【第13回】 歴史の歴史 (II) 【第14回】~【第15回】 20世紀の歴史学 (I) 以上の運営方法は目安であり、授業の進行状況により、変更することがあります。
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