Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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日本史演習8A− II 影山 好一郎
選択必修  2単位
【史】 09-1-1340-1840-06

1. 授業の内容(Course Description)
 前期と同様に、“日本は、結果的に、なぜ、勝算も、終結の目途もない太平洋戦争に突入するような道を選んだのか?”という素朴な疑問に対する答えを考察する。学生は、下記のサブテーマから一つないし二つを取り上げ、日本が「太平洋戦争へ突入して行く因果関係」を把握し、太平洋戦争の本質、特質、戦争指導者等の人物像、係わり等を含めて分析研究する。
 今期のサブテーマは、いずれも日中関係に関する錯綜した展開が中心となっている。今日の日中関係の歴史認識が往々にして政治問題に発展するのは、これらに関する粗雑な知識を母体にし、語り方も杜撰であるからであるといえる。常に疑問をもち、時系列に沿い、丁寧且つ緻密に事態の展開を調査研究するとともに、自制の態度が必要である。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 前期と同様に、太平洋戦争の原因に関する見解、戦争と国家・社会・国際関係の係わり、日本人の性向・特性等に関して因果関係を構造的に捉え、自己の意見を持ち、今後将来の参考事項を学び取ることを到達目標とする。当時の日中関係の本質の把握に努めて欲しい。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 前期と同様に、各自、授業参加はもちろん、太平洋戦争への道を探求するにふさわしいサブテーマを選び、関係史資料の収集・調査・研究を行い、小論文を作成提出し、発表、討議を行う。これらの実績を総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 前期に同じ。①テキストは、第一回のオリエンテーション時に配布し、学生が以後のサブテーマを選定できるように指導する。
 ② 参考文献
  * 黒野耐『日本を滅ぼした国防方針』(文芸春秋、平成14年)
  * 日本国際政治学会『太平洋戦争への道』(朝日新聞社、昭和38年)
  * 臼井勝美『満州事変』(中央公論社、昭和63年)
  * 古屋哲夫『日中戦争』(岩波書店、1993年)
  * 波多野澄雄『大東亜戦争の時代』(朝日新聞社、昭和63年)
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 今期の授業内容は、現在に近い時代でもあり、今次の大戦に与えた影響が大きいテーマであるので、自己を同時代の中におき、臨場感をもって、主体的に研究することを望む。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 満州事変勃発の背景と原因
【第2回】
 満州事変の戦闘経過と歴史的意義(国際連盟、英米等の反応を含む)
【第3回】
 上海事変の謀略と事件発生の構造
【第4回】
 上海事変の拡大の構造と連盟脱退の構造
【第5回】
 華北分離工作と歴史的意義
【第6回】
 華中・華南の事件発生と海軍の強硬化
【第7回】
 昭和11年の諸国策(1935・6年の危機説)
 (「国策の基準」「帝国国防方針第三次改定」等の策定の背景等)
【第8回】
 日中戦争(支那事変)発生の背景と勃発の構造
【第9回】
 日中戦争(支那事変)の拡大の構造
【第10回】
 三国同盟問題と歴史的意義
【第11回】
 太平洋戦争開戦経緯の実相とその歴史的意義
【第12回】
 真珠湾奇襲作戦の発想から開戦までの背景・経緯と歴史的意義
【第13回】
 第一段作戦の実相と歴史的意義
【第14回】
 第二段作戦以降の作戦・戦闘の実態と歴史的意義
【第15回】
 「太平洋戦争への道」の分析研究を振り返って
 総括的な視点で原因論、敗因論を考究する。