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授業の内容(Course Description) |
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心理学的な現象に興味を抱き、それを解明しようとするとき、我々はいろいろなテクニックを利用する。統計は最も頻繁に使われる代表的なテクニックの1つである。統計をうまく利用すれば、数字の羅列としか思えないようなデータのなかから、その特徴を浮かび上がらせ、違いを見抜き、《意味》を見つけ出すことができる。 この授業では、まず、心理学の研究に必要な基本的な統計のテクニックを習得してもらう。自分でデータを集め、それを分析し、なんらかの結論を引き出せるようになること、統計を使った他人の報告や論文を批判的に読み込めるようになること、そのための基礎を固めるのが第1の目標である。そして、個々のテクニックの背景にある、統計的な物の見方、考え方を、少しずつ理解して貰えるようにしたいと考えている。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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記述統計の基本的概念を理解し、『心理学基礎実験実習』、『心理学検査測定実習』『心理学特殊実験演習』、或は卒業研究などにおいて、適切なデータの記述と分析ができる知識を身に付ける。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末試験の成績のみで評価する。学期末試験はノートと各種数表、電卓の持ち込みを許可する。配布資料、教科書の持ち込みは認めない。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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教科書は特に指定しないが、予習、復習、自習の為に以下の3冊の中から、最低1冊を購入すること。
繁桝 算男・大森 拓哉・橋本 貴充(2008)『心理統計学 ― データ解析の基礎を学ぶ』培風館 中村 知靖・松井 仁・前田 忠彦(2006)『心理統計法への招待』サイエンス社 山田 剛史・村井 潤一郎(2004)『よくわかる心理統計』ミネルヴァ書房
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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初歩から丁寧に講義を進める。しかし、統計は講義を聞いただけでは身に付かない。指示された課題に真剣に取り組むのはもとより、積極的に復習をして、毎回の授業の内容を消化するようにして欲しい。数学が苦手であっても全く心配する必要はない。毎回出席すること、毎日の授業で、どんな小さな疑問も残さないこと、復習をすること、この3点を守って欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 たくさんのデータの特徴を表現する:平均値と標準偏差 【第2回】 データの分布:ばらつくデータの全体像をとらえる 【第3回】 心理学研究と統計、データとは何か?統計とはどんな技術か? 【第4回】 データの尺度水準:数字で表されているデータにも、いろいろな種類がある 【第5回】 尺度水準と代表値:モード、中央値、平均値 【第6回】 ばらつきを評価する(1) 分布の広がりと範囲 【第7回】 ばらつきを評価する(2) パーセンタイルと四分位数 【第8回】 ばらつきを評価する(3) 分散と標準偏差 【第9回】 分布を規格化する(1) 正規分布 【第10回】 分布を規格化する(2) z得点 【第11回】 分布を規格化する(3) z得点による標準化とその応用 【第12回】 2種類のデータの関係を調べる(1) 相関関係と散布図 【第13回】 2種類のデータの関係を調べる(2) 積率相関係数 【第14回】 関係から予測へ:回帰 【第15回】 もう1つの関係:順位相関
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