Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

少年非行の要因 福島 啓造
選択  2単位
【心理】 09-1-1360-1867-01

1. 授業の内容(Course Description)
 少年非行は、個人的な要因と社会的な要因が複雑に絡み合って表出される人間行動の一種である。これを理解するために、少年非行の現状を踏まえた上で、社会現象としての犯罪・非行、人間行動としての犯罪・非行に関する各種理論を概観する。また、少年の資質、家庭環境および社会環境と非行との関係を考察し、窃盗、暴力非行、性非行、薬物非行等各種非行の背景にある心理機制をも検討し、秋期の授業「非行少年の処遇」につなげていく。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 犯罪統計を含めて少年非行の実情を理解し、非行行動を説明する各種理論を理解するとともに、個人の資質ばかりでなく、家庭、学校、交友関係や社会の動向がどのように少年の社会不適応や、犯罪・非行に影響を及ぼすのかを考察し、その立ち直りへ方策への関心を高める。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 定期試験の成績(70%)と講義への出席状況(30%)を総合して評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは使用しない。講義の概要をプリント配布する。
 参考図書:福島 章『非行心理学入門』中公新書
麦島・安香 編『犯罪心理学』
小林 寿一 編著『少年非行の行動科学』
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 配布プリントの内容はあくまで概要であるから、講義により内容を理解すること。授業中の私語や他の学生の迷惑になる行為は慎むこと。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 「講義のガイダンス」:秋期の「非行少年の処遇」との関連講義であること、心理学・社会学・精神医学等の基礎知識が必要なことなどを説明する。
【第2回】
 「犯罪の現状」:犯罪統計を基に各種犯罪の認知件数、検挙数、検挙率等を比較し、日本の犯罪の現状を把握するとともに、このうち少年の占める比率等を比較することにより少年犯罪の量的実情を経年変化を含めて説明する。
【第3回】
 「少年非行」の法律的意味、犯罪行為、触法行為、不良行為等類似的用語の違いを説明し、少年事件扱い手続きについて概観する。
【第4回】
 最近の少年非行の特徴といわれる「低年齢化」、「凶悪化」、「動機の分かりにくい非行」などを説明する。
【第5回】
 社会現象としての犯罪・非行(1):アノミー理論、分化的接触理論、分化的同一化理論等について説明する。
【第6回】
 社会現象としての犯罪・非行(2):非行下位文化論、ドリフト理論、社会的絆理論等について説明する。
【第7回】
 人間行動としての犯罪・非行(1):生物学的要因、知的要因、人格要因等について説明する。
【第8回】
 人間行動としての犯罪・非行(2):精神医学的要因、精神分析的視点、発達障害と非行等につき説明する。
【第9回】
 親の養育態度や家庭内葛藤、経済状態などと非行との関係、ならびに学校や仲間集団など交友関係と非行について論じる。
【第10回】
 社会の経済動向や地域社会のありよう、IT社会、マスコミの影響など社会環境と非行との関係について論じる。
【第11回】
 各種非行の心理機制(1)窃盗及び粗暴非行の心理機制について説明する。
【第12回】
 各種非行の心理機制(2)性非行および放火の心理機制について説明する。
【第13回】
 各種非行の心理機制(3)殺人及び強盗の心理機制について説明する。
【第14回】
 各種非行の心理機制(4)暴走族、薬物非行および女子非行の心理機制について説明する。
【第15回】
 非行事例の要因検討:最近の得意事例を取り上げ非行の要因につき検討する。