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授業の内容(Course Description) |
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今日、心理学は原理・基礎的分野から応用・臨床分野まで様々な発展を遂げているが、犯罪(非行)心理学は犯罪現象の分析と犯罪(非行)者処遇に研究目的を置く臨床心理学の一分野と考えられている。一方で犯罪(非行)という人間行動を理解するためには、単に心理学的知見によるのみならず、犯罪学・社会学・医学・法学など、他の学問との学際的研究が必要とされている。心理学と幅広い他の学問分野との関連性を認識しつつ、犯罪(非行)心理学の基礎を学ぶために、文献を講読する。具体的には受講者をいくつかのグループに分け、それぞれに与えられたテーマに関する文献を調べ、その内容を授業中他の受講生に発表紹介する。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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犯罪(非行)行動は、心理学の主たる研究対象としての人間行動の一種である。しかし、一方でこの行動は、法律や社会規範、家族や自己の周辺の人間関係、あるいは社会・経済状況に大きく影響される行動でもある。その意味で個人的要因にとどまらない多様な側面から犯罪(非行)行動を分析・把握し、改善更生の方策にも関心を抱くようになる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験(記述式)50%、発表内容とディスカッション参加度30%、出席加点20%とする。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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法務総合研究所編『20年版犯罪白書』 麦島・安香編『犯罪心理学』 平尾靖著『非行心理の探究』 犬塚石夫編集代表『矯正心理学(上)』『矯正心理学(下)』 小林寿一編『少年非行の行動科学』etc.
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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参考文献は例示するが、それにこだわらず積極的に文献を発掘し調べることにより発表内容を充実したものとすること。発表者以外の受講生は積極的に参加し、質問、意見を活発に行うこと。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 「授業のガイダンス」:講読テーマ、グループ分け、発表要領等の説明 【第2回】 「犯罪とは何か」:少年非行を含め犯罪とは何かを明らかにして、犯罪心理学の研究対象を明確にする。講読テーマの割振りにつき調整する。 【第3回】 「最近の犯罪状況を知る」:犯罪統計を参照し、今日の犯罪発生状況を知り、合わせて刑事司法における犯罪者処遇の流れを知る。 【第4回】 「犯罪心理学の方法論」:いわゆる一元的原因論から多元的原因論への変遷について学ぶ。 【第5回】 「犯罪心理学研究の歴史」:いわゆる犯罪生物学に基づく犯罪原因論を基礎知識として学ぶ。 【第6回】 「犯罪行為の類型論」:犯罪行為を様々に類型化して理解しようとする理論を学び、その有用性を考える。 【第7回】 「犯罪者の心理機制」:犯罪行動の原因としての欲求不満や心理的葛藤ならびに精神分析の立場から防衛機制について考察する。 【第8回】 「人の資質と犯罪(1)」:知能と犯罪の関係を考える。知的障害は犯罪原因としてどのように考えられてきたかを知る。 【第9回】 「人の資質と犯罪(2)」:性格と犯罪の関係について学び、人格の発達との関係についても考察する。 【第10回】 「人の資質と犯罪(3)」:身体的要因と犯罪との関係について学ぶ。遺伝、脳波などの身体的側面と犯罪との関係を理解する。 【第11回】 「人の資質と犯罪(4)」:精神障害と犯罪の関係について学ぶ。どのような精神障害が原因となって犯罪に関与することがあるかを学ぶ。 【第12回】 「人の資質と犯罪(5)」:精神障害のうち人格障害と犯罪・非行との関係について学び、障害と司法判断の関係についても理解する。 【第13回】 「社会学的犯罪理論について」:米国にて発展した社会学的立場からの理論を紹介する。 【第14回】 「社会学的非行理論について」:前回同様テーマで主として少年非行に関する理論を紹介する。 【第15回】 「我が国における非行理論」:わが国の社会状況を踏まえた非行理論を紹介する。
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