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授業の内容(Course Description) |
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日本の国の財政は、戦後20年間つまり1946年から1965年までは、狭い意味での借金つまり国債発行を、行ってこなかった。国債発行を本格的に行ったのは、1966年であり、この国債は建設国債と称され、主として公共事業の財源に充当され、今日まで連続して発行されている。他方、1973年から福祉が飛躍的に拡大され、かつ、たまたま同年10月に第一次石油ショックが起こり、結果的に1975年に経常的な赤字が生じ、そのため、この年に初めて赤字国債が発行され、以来、一時の中断を挟み今日まで継続して発行されている。一時の中断とは、1991年、92年、93年の3年間であるが、この3年間は、1989年の消費税の導入と、バブル景気の余波とで、国の財政に少々余裕がある時期であった。このような狭い意味での借金つまり国債発行について講義では話す。これは一般会計予算、簡単には予算と言われるものに関することである。
他方、日本の国の財政は、広い意味での借金もしてきた、つまり、財政投融資といわれるものの原資を調達してきた。具体的には、主として郵便貯金を、従として厚生年金積立金を受け入れ、それを12項目の使途別に運用してきた。運用先は政府関係機関と地方公共団体である。この財政投融資の原資と運用の全体は、財投と略称されている。この財投は、郵便貯金の民営化によって、大きな変貌を遂げつつある。
講義では、狭い意味での財政の一般会計予算だけでなく、これに財投を加えた広い意味での財政について話すことにする。ただ、一般会計予算の支出と、財投の運用とから成る、広い意味での財政支出について主として述べることにし、特に法人税は日本の税法で、所得税は租税政策論で、地方財政は財政政策論で、それぞれ述べる。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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学生の皆さんは、卒業して社会に出たとき、仕事の上において、或いは、広く人生において、様々な場面に遭遇する。それらの場面それぞれを、臨機応変に分析でき、対策を立てられるようにする。原因と結果、目的と手段などを明らかにし、対策を立てられるようにする。自分のアタマで考えられるようにする。暗記では、分析できない。様々な場面それぞれを、自分のアタマで、考えて、判断でき、対策を立てられるようにする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験による。講義で述べたものから出題する。出欠は取らないが、出席した方が回答し易い、そんな出題を行う。例えば、文章の穴埋め問題では、出席していない人にとっては、文章がつながらないチンプンカンプンなものであろう。出席している人にとっては、普通につながるであろう。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト
河野 惟隆『財政投融資の研究』税務経理協会。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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日々の経済現象には、原因があり、過程があり、結果があり、それに対して、対策がある。その対策が、また、因となり、果となってゆく。このように、経済現象は、繰り返す法則として、存在する。学生の皆さんには、経済学は、何よりも、経済現象を、因果関係として明らかにし、対策を立てる、学問である、と理解してもらいたい。この講義では、日本の現実の経済の中における、国の財政支出の因果関係と対策について述べる。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】
産業技術の財政
【第2回】
電力の財政
【第3回】
石油の財政
【第4回】
貿易の財政
【第5回】
経済協力の財政
【第6回】
中小企業への政策金融
【第7回】
中小企業への信用保証
【第8回】
農業への財政支出
【第9回】
農業補助の根拠
【第10回】
教育財政
【第11回】
社会保障関係費
【第12回】
健康保険の財政
【第13回】
後期高齢者医療制度と財政
【第14回】
年金財政
【第15回】
秋学期のまとめ
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