Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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日本の税法 I 河野 惟隆
選択  2単位
【経営】 09-1-1110-0205-22A

1. 授業の内容(Course Description)
 この講義では、法人税法について述べる。法人税法において最も重要な、所得金額の利益金からの誘導について述べる。
 そもそも法人税法において、税額は、企業計算上の利益金に税率を乗じて算出される、というのではなく、その利益金から、所得金額なるものを誘導して、この所得金額に、税率を乗じて算出されるのである。この利益金からの所得金額の誘導が法人税法の核心をなす。法人税法の大半は、所得金額の誘導の規定なのである。所得金額の誘導をマスターすれば、法人税法をマスターしたことになる。
 そもそも法人税法は、企業の金銭の支出と収入のすべてについて規定している。それだけではない。非金銭的だが、経済的な支出や収入に相当するものについても規定している。前者の金銭と、後者の非金銭とを、一括して経済とすれば、法人税法は企業の経済的な支出と収入のすべてについて規定しているのである。この経済的な支出と収入の規定が、実は、直ぐ上で述べた、利益金からの所得金額の誘導なのである。これが講義の核心である。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 学生の皆さんは、卒業して社会に出たとき、仕事の上において、或いは、広く人生において、様々な場面に遭遇する。それらの場面それぞれを、臨機応変に分析でき、対策を立てられるようにする。原因と結果、目的と手段などを明らかにし、対策を立てられるようにする。自分のアタマで考えられるようにする。暗記では、分析できない。様々な場面それぞれを、自分のアタマで、考えて、判断でき、対策を立てられるようにする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 定期試験による。講義で述べたことから出題する。出欠は取らないが、出席した方が回答し易い、そんな出題を行う。例えば、文章の穴埋め問題では、出席していない人にとっては、文章がつながらないチンプンカンプンなものであろう。出席している人にとっては、普通につながるであろう。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 河野 惟隆『法人税法別表四の新解釈』税務経理協会。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日々の経済現象には、原因があり、過程があり、結果があり、それに対して、対策がある。その対策が、また、因となり、果となってゆく。このように、経済現象は、繰り返す法則として、存在する。学生の皆さんには、経済学は、何よりも、経済現象を、因果関係として明らかにし、対策を立てる、学問である、と理解してもらいたい。この講義では、日本の現実の経済の中における、法人税法の因果関係と対策について述べる。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 利益金と所得金額
【第2回】
 利益金と留保所得・利益積立金額
【第3回】
 所得金額と留保所得・利益積立金額
【第4回】
 損金不算入:減価償却
【第5回】
 損金不算入:土地圧縮記帳
【第6回】
 損金不算入:貸倒引当金
【第7回】
 損金算入:減価償却当期認容
【第8回】
 損金算入:土地圧縮記帳積立金
【第9回】
 損金算入:貸倒引当金取崩し
【第10回】
 益金算入:外国子会社留保金額・低額取得
【第11回】
 損金不算入:役員賞与・寄付金・所得税
【第12回】
 損金算入:繰越欠損金
【第13回】
 損金算入:所得控除
【第14回】
 益金不算入:受取配当
【第15回】
 春学期のまとめ