Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
租税政策論 I 河野 惟隆
選択  2単位
【観光経営】 09-1-1110-0205-26A

1. 授業の内容(Course Description)
 この租税政策論 I・II では、個人の所得に対する税つまり所得税法について述べる。企業に対する税つまり法人税法については日本の税法 Ⅰ・II を受講されたい。
 大半の個人は、給与所得が事業所得か年金かの何れかによって、定期的な所得を得て、生活している。所得税法では、これらをそれぞれ規定し、その規定されたものから、それらに共通な所得金額なるものを導き出し、さらに、この所得金額から課税所得金額なるものを導き出し、この課税所得金額に法定税率を乗じて税額を算出する、というようになっている。この過程は、公平の観点から定められている。特に、高所得者には重い負担を課し、逆は逆、というようになっている。この租税政策論I・Ⅱでは、このような所得税法について述べる。つまり、所得税法の原則的な部分について述べることにする。
 なお、所得税法は、自営業者の事業所得については、企業活動の側面についても定めているが、これは法人税法と殆ど同じであり、従って、事業所得の企業活動の側面についての税は、日本の税法 I・II で述べることにし、この租税政策論 I・IIでは、もっぱら、給与所得や年金との関係でのみ、事業所得に触れることにする。
 所得税の税額は、課税所得に法定税率を乗じて算出されるが、春学期には、給与収入金額から、この課税所得が算出される給与所得控除について、主として述べる。法定税率が適用される前にも、格差を縮小する措置が取られていることを明確にする。いわゆる垂直的公平を図る措置を明確にする。課税所得と法定税率の関係については、秋学期に述べる。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 学生の皆さんは、卒業して社会に出たとき、仕事の上において、或いは、広く人生において、様々な場面に遭遇する。それらの場面それぞれを、臨機応変に分析でき、対策を立てられるようにする。原因と結果、目的と手段などを明らかにし、対策を立てられるようにする。自分のアタマで考えられるようにする。暗記では、分析できない。様々な場面それぞれを、自分のアタマで、考えて、判断でき、対策を立てられるようにする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 定期試験による。講義したことから出題する。出欠は取らないが、出席した方が回答し易い、そんな出題を行う。例えば、文章の穴埋め問題では、出席していない人にとっては、文章がつながらないチンプンカンプンなものであろう。出席している人にとっては、普通につながるであろう。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
テキスト 
 河野 惟隆『法人税法・所得税法の経済学』税務経理協会。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日々の経済現象には、原因があり、過程があり、結果があり、それに対して、対策がある。その対策が、また、因となり、果となってゆく。このように、経済現象は、繰り返す法則として、存在する。学生の皆さんには、経済学は、何よりも、経済現象を、因果関係として明らかにし、対策を立てる、学問である、と理解してもらいたい。この講義では、日本の現実の経済の中における、所得税法の因果関係と対策について述べる。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 所得税法の概観
【第2回】
 所得税額の計算順序
【第3回】
 課税標準
【第4回】
 給与所得控除(1)
【第5回】
 給与所得控除(2)
【第6回】
 給与所得控除(3)
【第7回】
 給与所得控除(4)
【第8回】
 公的年金控除(1)
【第9回】
 公的年金控除(2)
【第10回】
 退職所得控除
【第11回】
 山林所得の算出
【第12回】
 損益通算等(1)
【第13回】
 損益通算等(2)
【第14回】
 10種類の所得
【第15回】
 春学期のまとめ