Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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日本の財政 I 河野 惟隆
選択  2単位
【観光経営】 09-1-1110-0205-28A

1. 授業の内容(Course Description)
 暫定税率が政治問題化している。この税率は揮発油税に関するものである。揮発油つまりガソリンには税が課せられている。その税率には通常の税率の上に、暫定的に上乗せして税を課しても良いことになっている。その上乗せ税率が暫定税率である。この揮発油税によって道路が建設されている。国道・県道・市道は、この揮発油税によって建設されている。したがって暫定税率は、日本の財政の一部である。しかも重要なものの一つである。
 数年前には、高速道路のあり方が政治問題化され、今後、建設予定の高速道路は赤字が必至なのでその建設は凍結され、道路公団の民営化が実現された。時を同じくして、郵便貯金のあり方も政治問題化して、国会議員の選挙の際に“刺客”が送り込まれ、結局、郵貯は民営化された。このようになったのも、高速道路と郵便貯金とは一体化していたからである。つまり、国道・県道・市道は揮発油税によって建設されていたのに対して、高速道路は郵便貯金で建設されているからである。もちろん、この高速道路と郵便貯金は日本の財政の一部、しかも重要な一部である。
 社会保険庁が何かと批判されている。しかし基本的に論ずべきは、高齢化少子化の中で、高齢者の年金・介護・医療を如何にするか、他方、子育て・義務教育を如何にするか、ということである。他に、技術革新、石油・原子力発電などエネルギー、中小企業、食糧品確保、貿易保険、途上国援助なども日本の財政である。
 講義では、これら個別の問題について述べると同時に、財政全体の問題つまり税と国債についても簡単に述べる。ただ、本講義では、国の財政支出について主として述べ、税ならびに地方財政の詳細は他の講義で述べる。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 学生の皆さんは、卒業して社会に出たとき、仕事の上において、或いは、広く人生において、様々な場面に遭遇する。それらの場面それぞれを、臨機応変に分析でき、対策を立てられるようにする。原因と結果、目的と手段などを明らかにし、対策を立てられるようにする。自分のアタマで考えられるようにする。暗記では、分析できない。様々な場面それぞれを、自分のアタマで、考えて、判断でき、対策を立てられるようにする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 定期試験による。講義で述べたことから出題する。出欠は取らないが、出席した方が回答し易い、そんな出題を行う。例えば、文章の穴埋め問題では、出席していない人にとっては、文章がつながらないチンプンカンプンなものであろう。出席している人にとっては、普通につながるであろう。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 河野 惟隆『財政投融資の研究』税務経理協会。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日々の経済現象には、原因があり、過程があり、結果があり、それに対して、対策がある。その対策が、また、因となり、果となってゆく。このように、経済現象は、繰り返す法則として、存在する。学生の皆さんには、経済学は、何よりも、経済現象を、因果関係として明らかにし、対策を立てる、学問である、と理解してもらいたい。この講義では、日本の現実の経済の中における、国の財政支出の因果関係と対策について述べる。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 国の財政
【第2回】
 予算編成
【第3回】
 一般会計予算の歳入
【第4回】
 一般会計予算の歳出
【第5回】
 建設国債(その1)
【第6回】
 建設国債(その2)
【第7回】
 赤字国債
【第8回】
 財政投融資の原資
【第9回】
 財政投融資の運用(その1)
【第10回】
 財政投融資の運用(その2)
【第11回】
 道路の財政
【第12回】
 鉄道の財政
【第13回】
 住宅の財政
【第14回】
 他の公共事業関係費
【第15回】
 春学期のまとめ