Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
比較産業論特講 I 和田 正武
選択  2単位
【経営学専攻】 09-1-1110-0584-26A

1. 授業の内容(Course Description)
 国の経済は多様な産業活動によって成立している。本授業では産業活動を多面的に分析する方法を学び、自動車、繊維、半導体、流通、サービス業などをとりあげ、それら産業の特徴を把握するとともに、日本の現状、及び中国・韓国など特にアジア諸国の発展状況、その発展の足取り、現在の問題を分析し、将来に向けての日本産業の変容と発展の可能性を考えることとする。授業中、出来るだけ生の統計データに触れ、それを自分で加工し、産業の特徴を把握することに努める。なお、特講Iでは産業のケースとして繊維産業と流通産業をとりあげる。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 与えられた研究課題に対し、自主的に調査研究できる能力を高める。そのためには、文献収集の仕方、統計資料の処理や分析の仕方、報告書のまとめ方など、実践力を養う。特に留学生については日本語で論文を読み、また書く能力を高めるため、適宜課題を与えレポートの提出を求める。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 通常の授業での発言、発表などの活動状況を評価する。また適宜課題を与えレポートを提出、それを評価する。更に、期末には自分の関心あるテーマについての研究計画の提出を求める。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 各種統計資料(工業統計、貿易統計、直接投資統計など)、『日本戦後産業史』(東洋経済)、『グローバル競争時代の中国自動車産業』(蒼蒼社)、『キャッチアップ型工業進化論─アジア経済の軌跡と展望─』(名古屋大学出版会)、その他、適宜知らせる。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 産業活動に関心があり、自分で産業の分析をしたいと思っている意欲ある学生。自分の意見を持ち、また人の意見にも関心を示し、ディスカッションできる学生。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション。比較産業論とはなにか?授業の計画を紹介する。
【第2回】
 産業分類について
 産業を比較するにはそれをどのように分類するかからはじまる。1次~2次~3次産業という分類。また製造業は日本標準産業分類により分類される。工業統計表をもとにし、日本の産業構造の概略を把握するとともに、その時間的変化とその意味を考える。なお、産業を新たな視点で分類しなおすと、産業の新たな特徴をとらえなおすことができる。
【第3回】
 産業活動の見方(1)
 産業活動を統計的に見る。工業統計表から産業の特徴、違いをみる。すなわち、人件費、原材料費、設備投資と償却費などの生産コスト構成要素の違いや、そこから生じる付加価値比率の違いなどを計算し、理解する。なぜ産業によってそれら数値が違うかを検討する。
【第4回】
 産業活動の見方(2)
 工業統計表はデータの宝庫であり、その分析を続ける。ここでは産業毎に企業規模の分布、平均規模、企業数などから産業の中小企業性を探ることとする。また産業毎になぜ独特な規模分布を示すのか考える。
【第5回】
 産業活動の見方(3)
 ここでは産業の地域分布を分析する。工業統計表にしたがって産業には地域的集積が存在することを理解する。また都市型産業、郊外型産業、インフラ依存型産業等いろいろな視点からの産業の特徴が見られる。
【第6回】
 日本の繊維産業の戦後発展史1
 戦後日本の繊維産業の復活、合成繊維産業の発展、日米繊維交渉、繊維産業の国際競争力の低下、輸出産業から輸入産業への変化、技術開発による新繊維産業の発生、といった専業の発展、衰退、再生を、国際環境の変化の中で捉える。テキストを配布、輪読とディスカッション。
【第7回】
 日本の繊維産業戦後史(2)
 同上
【第8回】
 日本の繊維産業戦後史(3)
 同上
【第9回】
 日本の繊維産業が衰退していった理由。統計資料の分析。ディスカッション。
【第10回】
 日本の流通業分析。統計資料からディスカッション。
【第11回】
 セブンイレブンの発展史。従来の中小小売店との違い。
【第12回】
 コンビ二エンス・ストアの仕組み。その他の流通業の発展。大型量販店、スーパー、ショッピングセンター、アウトレットなど。
【第13回】
 流通業と製造業の関係。製造業による流通支配と流通号による製造業支配。力関係と消費者。
【第14回】
 研究計画の作成と発表(関しなる産業について、研究計画を作成してみる。問題意識と仮説設定、分析のアプローチなどを考える。
【第15回】
 まとめ