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授業の内容(Course Description) |
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経済社会において資金の仲介機能を果たす銀行は、預金と貸付を通じて資金の配分を行い、結果的には社会的資源の配分に寄与する。また、資金の受け入れとその運用の仕方によって各種の金融業務が生じ、これらを制度的に特殊化することによって専門的金融機関が成立する。期間対応の原則に応じた銀行の専門化および証券業と銀行業との両業務の分離問題である。本年度の春期講義は、「信用代位」の高度形態としての「証券代位」に焦点をあわせ、金融市場と証券市場の関係を総合的に検討する。そのための題材として、最も今日的な課題となっている中国・東欧などの移行期経済の金融・証券市場を取り上げ,かつ日本、さらにはアメリカ・EU諸国などの金融システムとの比較・検討などを含めて行う予定である。また、19世紀中期以降、世界市場に編成された辛亥革命以前の近代中国の封建的性格の残存する金融システムなども検討し、歴史的・長期的視野からあらためて現代を見つめてみたい。なお、講義の形式は講義とテキストの輪読を併用していく。また、事情によっては、履修者の要望に応じて進めることも予定している。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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金融システムは各国固有の特殊性を有することについて、各国の経済事情を踏まえ理論・歴史・政策の観点から理解することをねらいとする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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レポートや出席などの平常点による総合評価
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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赤川元章・唐木圀和編著『東アジア経済研究のフロンティア』(慶應義塾大学出版会、2004年刊) 赤川元章著「チェコスロバキアにおける国有企業の民営化のプロセスについて」『三田商学研究』(第43巻6号、2001年2月) 赤川元章著「チェコスロバキアにおけるバウチャー方式民営化の構造と問題点」『三田商学研究』(第47巻3号、2004年8月) その他
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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秋期講義(金融論特講II)と併せて履修することが望ましい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 はじめに(講義内容の紹介) 【第2回】 高度成長下における最近の中国経済と金融問題 【第3回】 中国経済発展の要因について―過去・現在・未来へのアプローチ 【第4回】 中国金融システムに関するヨーロッパ的視点 【第5回】 中国金融システム改革に関する先駆的研究と問題点 【第6回】 中国専門エコノミストの研究軌跡 【第7回】 中国金融システムの発展と問題点 【第8回】 中国金融システム改革と苦吟する「不良債権問題」 【第9回】 中国の「移行期」資本市場とその構造 【第10回】 中国国有企業のコーポレート・ガバナンス論 【第11回】 中国経済と世界市場 【第12回】 チェコスロバキアの「移行期」における国有企業民営化の方法と問題点(1) 【第13回】 チェコスロバキアの「移行期」における国有企業民営化の方法と問題点(2) 【第14回】 まとめ(1) 【第15回】 まとめ(2)
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