Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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マクロ経済学 I 林  英機
選択  2単位
【観光経営】 09-1-1110-1597-15A

1. 授業の内容(Course Description)
 この講義においては、入門マクロ経済学において習得したであろう基本を念頭に置いて、より進んだマクロ経済問題を理論的及び実態面をも含めて講義することを目的としている。まず、基本的出発点として、国民所得勘定の構造とGDP水準の決定及び経済の安定と完全雇用の達成のための経済政策の伝統的な理論を取り上げる。さらに、経済政策の最大の問題の1つであるインフレーションとデフレーションの問題を取り上げ、さらに、もう1つの重要な問題である失業の克服との同時的解決の方法を検討する。そして、このような議論の過程において提示されてきた伝統的なケインズ経済学に基づく経済政策の有効性への批判を巡る議論を取り上げ、そのような議論の再検討を試みてみたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 経済が混迷する中で経済理論や経済政策を巡る議論は百出状態であるが、そのような議論を適宜整理して、各自の経済や経済政策の見方をもつための一助になるならば幸甚である。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 主として期末試験の成績によるが、途中で授業の理解度を確かめるために2~3回のレポートの提出を求める。このようなレポートは授業の理解に役立つだけでなく、成績評価にも関係してくるので軽視しないでもらいたい。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 授業はプリントの配布によって行なう。プリントは当該講義時の出席者のみに配布する。参考文献は講義中に適宜紹介したいが、取り敢えずは、福田慎一・照山博司『マクロ経済学・入門』有斐閣アルマ、中谷巌『入門マクロ経済学』日本評論社、をあげておく。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日々の経済問題に関心をもち、それに関する経済学的な見方を養う習慣をつけておくことは重要である。講義プリントは、特別の事情がない限り、配布当日の出席者のみに配布するので、欠席をしないようにしてもらいたい。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義の内容と計画。その時点における日本経済の状態についても触れたい。
【第2回】
 国民所得勘定の構造と見方(1)。マクロ経済学とは、大まかにいえば、GDP水準の決定、変動、成長を研究する学問であり、GDPを測定する国民所得勘定の構造の理解は不可欠である。
【第3回】
 国民所得勘定の構造と見方(2)。実際の日本の国民所得勘定によって、GDPとその構成及びそれらの見方を説明する。
【第4回】
 GDP水準の決定とIS-LM分析(1)。有効需要理論によるGDP水準の決定とそれをさらに進化させたIS-LM分析の十分な理解はやはりマクロ経済学とそれに基づく経済政策の効果の検討にとって不可欠である。まず、IS-LM分析の構造について述べる。
【第5回】
 GDP水準の決定とIS-LM分析(2)。IS-LMフレームワークの下での均衡GDPと均衡利子率の決定メカニズムについて述べる。
【第6回】
 GDP水準の決定とIS-LM分析(3)。IS-LMフレームワークの下での財政金融政策の効果と最適な財政金融政策の組合せについて検討する。
【第7回】
 インフレーションとデフレーション(1)。インフレーションとはある程度以上の物価の上昇、デフレーションとは物価の低下をいう。物価指数による物価水準の測定方法と日本経済における物価の推移について述べる。
【第8回】
 インフレーションとデフレーション(2)。インフレーション及びデフレーションの原因について検討する。
【第9回】
 インフレーションとデフレーション(3)。引き続きインフレとデフレの原因を検討するとともに、インフレやデフレがもたらす影響及びインフレ及びデフレへの対策について述べる。
【第10回】
 インフレーションと失業の克服(1)。労働力統計や雇用統計によって雇用状況や失業の推移を検討し、雇用と失業の現状についても触れる。
【第11回】
 インフレーションと失業の克服(2)。インフレーションと失業の同時的克服についてのフィリップス曲線として知られる伝統的理論について述べる。
【第12回】
 インフレーションと失業の克服(3)。フィリップス曲線への批判として提示された理論の検討を自然失業率仮説を中心に行なう。
【第13回】
 インフレーションと失業の克服(4)。これまでの議論を整理し、インフレと失業の同時克服の方策を検討してみたい。
【第14回】
 経済政策の有効性を巡る議論(1)。伝統的なケインズ理論に基づく経済政策の有効性については、近年それを疑問視する多くの議論が提示されるようになった。そのような話題のいくつかを取り上げて検討する。
【第15回】
 経済政策の有効性を巡る議論(2)。引き続いて、経済政策の有効性を巡る議論について検討する。