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授業の内容(Course Description) |
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仕事、すなわち、労働は、大多数の国民にとって、生活を支える重要な手段です。
今、我が国の人口の減少、少子高齢化、バブル崩壊後の長期低迷、経済のグローバル化・サービス化、世界同時不況の発生など、職業や労働をめぐる経済・社会の状況は大きく変わり、その中で、日本的雇用慣行の変化、長時間労働層や非正規労働者の増加、ワーキングプアの発生などの問題が生じ、労働問題や労働政策は、大きな国家的な課題となり、国民の重大な関心事となっています。また、人事・賃金の能力主義・成果主義化や労働者自らによるキャリア形成など新しい働き方を求める動きもみられます。
本講義では、働くこと(労働)の経済的意味、労働をめぐる経済現象や労働政策の課題について、ミクロ経済学的視点を中心にし、マクロ経済学的視点や制度派的視点を交えて、学習します。労働経済論Iでは、主として、労働経済の基礎的、総論的事項を取り扱います。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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労働経済の基礎的、総論的な理論、知識の習得とこれら理論、知識をベースにした思考力の展開を目標とします。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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評価は、定期試験(記述形式)の得点を基本とし(7割)、出席状況、授業中の態度、適時行う小テストの得点などを加味して(3割)、総合的に評価します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:太田 聰一・橘木 俊詔『労働経済学入門』(有斐閣)
参考書:清家 篤『労働経済』(東洋経済新報社)
大橋 勇雄・中村 二朗『労働市場の経済学』(有斐閣)
古郡 鞆子『働くことの経済学』(有斐閣)
佐藤 博樹・藤村 博之・八代 充史『新しい人事労務管理』(新版)(有斐閣)
など。
講義は、テキストを中心に行いますが、必要に応じて、上記参考書等からも学習対象として引用することがあります。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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一応、テキストを使用しますが、テキスト以外の部分についてもノートを取るように心掛けてください。授業中の私語、携帯電話は厳禁とします。
労働経済論Iでは、主として、労働経済の基礎的、総論的事項を取り扱いますが、労働経済論IIと一体として労働経済を学習しますので、前期と後期を通して聴講するようにしてください。新聞の労働問題や労働政策の記事には、できるだけ目を通すようにしてください。
本講義が、社会に出て自立する準備をすべき学生諸君にとって、自らの職業選択のヒントになることをも願っています。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】
授業ガイダンス…「労働」の経済学的意味、哲学的意味。労働経済論とは何か。
【第2回】
「労働」の商品として特殊性。
労働問題の基本概念(労働者、経営者、使用者、賃金など)。
雇用労働者と自営業者の働き方。
【第3回】
労働問題の歴史
【第4回】
労働の需要と供給(1)…労働市場の特徴、労働の供給、労働供給曲線。
【第5回】
労働の需要と供給(2)…労働の需要、労働需要曲線
【第6回】
労働の需要と供給(3)…需要と供給の均衡(雇用量・賃金の決定)
【第7回】
労働の需要と供給(4)…労働市場の不完全性。労働市場と情報。
【第8回】
データでみる労働経済(1)…人口、労働力率、完全失業、少子・高齢化。
【第9回】
データでみる労働経済(2)…産業と職業、労働時間、正規職員と非正規職員の賃金格差など。
【第10回】
賃金格差の理論(1)…生産性格差説、補償賃金格差説等
【第11回】
賃金格差の理論(2)…支払い能力説、効率賃金仮説等
【第12回】
学習と訓練(1)…人的資本理論、シグナリング理論等
【第13回】
学習と訓練(2)…訓練モデル
【第14回】
学習と訓練(3)…企業特殊訓練と雇用の長期化、内部労働市場。
【第15回】
日本的雇用慣行。労働経済論I補論。
以上の予定ですが、場合によっては、スケジュールに多少の前後や内容の変更をすることがあります。
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