Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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労働経済論 II 藤村  誠
選択  2単位
【経営】 09-1-1110-1604-06A

1. 授業の内容(Course Description)
 仕事、すなわち、労働は、大多数の国民にとって、生活を支える重要な手段です。
 今、我が国の人口の減少、少子高齢化、バブル崩壊後の長期低迷、経済のグローバル化・サービス化、世界同時不況の発生など、職業や労働をめぐる経済・社会の状況は大きく変わり、その中で、日本的雇用慣行の変化、長時間労働層や非正規労働者の増加、ワーキングプアの発生などの問題が生じ、労働問題や労働政策は、大きな国家的な課題となり、国民の重大な関心事となっています。また、人事・賃金の能力主義・成果主義化や労働者自らによるキャリア形成など新しい働き方を求める動きもみられます。さらに、現下の世界的不況の中にあって、雇用調整、失業、失業対策(ワークシェアリングなど)が注目されています。
 本講義では、労働の経済的意味、労働をめぐる経済現象や労働政策の課題について、ミクロ経済学的視点を中心にし、マクロ経済学的視点や制度派的視点を交えて、学習します。労働経済論IIでは、労働経済論Iに引き続いて、トピック的な労働経済の応用的、各論的事項を取り扱います。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 労働経済の応用的、各論的事項に関する理論、知識を習得し、これら理論、知識をベースにした思考力の展開を目標とします。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 評価は、定期試験(記述形式)の得点を基本とし(7割)、出席状況、授業中の態度、適時行う小テストの得点などを加味して(3割)、総合的に評価します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:太田 聰一・橘木 俊詔『労働経済学入門』(有斐閣)
 参考書:清家 篤『労働経済』(東洋経済新報社)
     大橋 勇雄・中村 二朗『労働市場の経済学』(有斐閣)
     古郡 鞆子『働くことの経済学』(有斐閣)
     佐藤 博樹・藤村 博之・八代 充史『新しい人事労務管理』(新版)(有斐閣)
     など。
 講義は、テキストを中心に行いますが、必要に応じて、上記参考書等からも学習対象として引用することがあります。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 一応、テキストを使用しますが、テキスト以外の部分についてもノートを取るように心掛けてください。授業中の私語、携帯電話は厳禁とします。
 新聞の労働問題や労働政策の記事には、できるだけ目を通すようにしてください。
 本講義が、社会に出て自立する準備をすべき学生諸君にとって、自らの職業選択のヒントになることをも願っています。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】・【第2回】
 日本的雇用慣行の特色、日本的雇用慣行の変容と動向(能力主義・成果主義の進展ほか)。
【第3回】
 離職・転職(1)…自己都合の離職・会社都合の離職。離職率、転職率。
【第4回】
 離職・転職(2)…離職のメカニズム
【第5回】
 高失業の経済学(1)…失業の見方。失業率の推移。失業発生の理由。
【第6回】
 高失業の経済学(2)…失業率を下げる政策(ワークシェアリングなど)。失業保険(雇用保険)。雇用調整。
【第7回】
 女性の労働問題(1)…女性労働の役割の増大、女性労働の特徴。
【第8回】
 女性の労働問題(2)…男女の役割分担意識、女性の就労実態。
【第9回】
 女性の労働問題(3)…女性差別の状況(男女間の賃金の格差等)、男女共同参画社会。
【第10回】
 若者の雇用(1)…若者の就職状況の悪化(失業率の上昇等)、離職率(七五三離職)。フリーター、ニート。非正規労働者の増加。
【第11回】
 若者の雇用(2)…若者雇用の悪化の背景(意識変化説、採用減少説、資質悪化説)。若者失業の問題点。
【第12回】
 高齢者の雇用(1)…高齢者の失業率。高齢者の就業意欲。定年制。
【第13回】
 高齢者の雇用(2)…定年延長、継続雇用。豊かなセカンドライフ。
【第14回】
 障害者と外国人の雇用。
【第15回】
 労働組合と労使関係。労働経済論II補論。
 以上の予定ですが、場合によっては、スケジュールに多少の前後や変更をすることがあります。