Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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開発経済論特講 II 高梨 和紘
選択  2単位
【経営学専攻】 09-1-1110-1895-30A

1. 授業の内容(Course Description)
 本講義は「開発経済論特講I」で国際開発援助の方向性について理解を深めたことを前提に、あらためてその理論的背景を探ることにする。T.R.マルサスが『人口論』(1798)のなかで貧困の罠について論じて以来、21世紀を迎えた今日でも発展途上国の「貧困の持続」という経済現象は経済学者の関心を惹き付けて止まない。「開発経済論特講II」では、はじめに現行の国際開発援助論を支えている経済理論の系譜を辿ることにしたい。すなわち古典派、新古典派、ケインズ学派に属する経済学者が、「貧困」をどのように捉えたのか、さらにそれぞれの分析の中に今日においても有効な貧困削減政策の手掛かりを見出すことができるか否かを巡ってディスカッションを行う。講義と並行して、この分野のテーマで論文の作成に努めている参加者に報告をしてもらい、ディスカッションを通じて論文の進展を促して行きたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 大学院の受講生には、貧困削減政策というこの講義で扱う研究分野の事例によって、アカデミックな分析が、ドロドロした現実を改善するのにどのような形で役立っているのか、是非理解してもらいたい。「貧困」という経済現象を、簡単な図式や数式で表すことが、いかに楽しいことであるか、感じ取ってもらえれば幸いである。図式や方程式体系に表すことさえできれば、そのどの変数を操作すれば望ましい結果に導くことが可能になるはずである、このような政策的示唆を読み取り、これを実際の開発政策に活かすという一連の頭脳ワークに関心をもってもらうことが、授業の到達目標である。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 参加状況などの平常点によって総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 高梨 和紘編著『開発経済学−貧困削減から持続的発展へ』慶應義塾大学出版会、2005.
 山形・黒崎共著『開発経済学−貧困削減へのアプローチ』日本評論社、2003.
 速水 佑次郎著『開発経済学−諸国民の貧困と富』創文社、2000.
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 問題意識をもって、参加して欲しい。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 貧困持続の構造
 T.R.マルサス
【第2回】
 貧困からの解放
 A.ルイス
【第3回】
 均斉、不均斉モデル
 R.ヌルクセ
【第4回】
 A.O.ハーシュマン
【第5回】
 成長の2部門モデル
 G.レイニス=フェイJ.C.H.府
【第6回】
 ビッグプッシュ論
 H.ネルソン=ライベンシュタウン
【第7回】
 経済成長モデル
 R.F.ハロッド=ドーマーE.
【第8回】
 R.M.ソロー=スワンT.W.
【第9回】
 国際金融機関モデル
 IMFモデル
【第10回】
 IBRDモデル
【第11回】
 諸開発政策と論文指導
 人的資源開発政策
 論文テーマを巡る討論
【第12回】
 技術トランスファー政策
 論文テーマを巡る討論
【第13回】
 医療保健制度整備政策
 論文テーマを巡る討論
【第14回】
 ガバナンス改善政策
 論文テーマを巡る討論
【第15回】
 まとめ:開発モデルの課題と展望