Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
入門マクロ経済学 I 小島 寛之
選択  2単位
【観光経営】 09-1-1120-0211-30A

1. 授業の内容(Course Description)
 経済学の理論は大きく分けると、ミクロ経済学とマクロ経済学に分かれる。ミクロ経済学が、一人一人の消費者や労働者、それから一つ一つの企業などに注目して、経済を営む最小単位からアプローチするのに対し、マクロ経済学は、国家単位で集計して巨視的な観点から経済にアプローチするものである。
 マクロ経済学を学ぶことは何の役に立つのだろうか。
 それは、経済が国家単位の集団として営まれるとき、そこに現れる法則性が、わたしたち個人個人の生活にどんな影響を持つかがわかる、という点で役にたつのである。このような知識は、単に「単位が取れて卒業できた」ということ以上のメリットを諸君にもたらすだろう。それはなぜか。例えば、社会人になると、多少の蓄えができる。そのおおよそは銀行預金にするが、一部は株や投資信託などで増やそうと考える。このとき、物価や利子率の動向を予測するのは大切で、それは景気の先行きと密接な関係を持っている。また、家庭を持って子供ができると、いずれ住宅を購入する。現金で買える人は少ないので、たいていはローンを組むだろう。このとき、利子率の動向を予見したり、自分の職業の将来を見据えるのは、大切な態度である。このような「経済の見通し」を作るには、マクロ経済学の知識はなくてはならないものなのである。
 この講義では、マクロ経済学への入門を、できるだけ身近な例を使って行うこととしよう。まずは、マクロの指標(経済の定期健診項目)を知るのが、第一歩である。前期においては、GDP、経済成長率、景気判断、失業率、物価、利子率、株価によって、国の経済を診断する具体的な眼力を養う。さらに、それらの指標にどういう関連性があり、どのような法則が潜んでいるのかも易しく講義する。
 このような経済指標の理解は、現在世界中が陥っている金融の混乱からの不況を理解するのに大きく役立つはずである。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 経済指標とその連関の理解を到達目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 講義内の問題演習を抜き打ちで3~4回実施し、出席ボーナス点を与える(計30点程度)。それに期末テスト(70~80点満点)の点数を加えて評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 講義で指示する。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 必ず出席して、課題をこなして、ボーナス点を獲得すること。データから見て、出席回数の少ない学生は高確率で単位を落としている。あまり出席しないつもりの学生(特に4年生)は、履修しないで欲しい。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明
【第2回】
 マクロ経済学と経済指標~マクロ経済学とはどんな学問か
【第3回】
 GDP1~GDPは国の家計簿、付加価値、二重計算、世界データ
【第4回】
 GDP2~GDPの内訳、日本のGDPの内訳
【第5回】
 国民総所得~総生産はなぜ総所得なのか、総所得の内訳
【第6回】
 国民総支出~総生産はなぜ総支出なのか、三面等価、総支出の内訳
【第7回】
 経済成長率~どうして経済は成長するのか、世界データ、経済成長の重要性
【第8回】
 景気~景気のよしあしの測り方、失業率、DI、失業のナニが問題なのか
【第9回】
 国民会計1~ISモデル
【第10回】
 国民会計2~ISGTモデル
【第11回】
 国際会計3~ISGTXMモデル
【第12回】
 物価~物価ってナニ、物価の測り方、物価の過去データ
【第13回】
 インフレとデフレ~どうして起きるか、何が問題か
【第14回】
 物価はどうやって決まるか~貨幣量とフィッシャー方程式
【第15回】
 講義の遅れに対する調整または経済指標からみた現在の世界経済