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授業の内容(Course Description) |
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ミクロ経済学とは、市場における競争で価格や生産量がどのように決まるかを数理的に分析する分野である。これを学ぶことによって、例えば、以下のようなさまざまな疑問に答えることができるようになる。マイクロソフト社は、どうしてアップル社を合併しようとしたのか。家電製品は、量販店でなんでどんどん安くなるのか。入札によって決まる公共事業が結局高いのはどうしてなのか。値下げするとかえって商品が売れなくなるのはどうしてか。時給を上げると、労働者が働かなくなってしまうのはなぜなのか。 以上のような経済現象のからくりは、みんな「最適行動のメカニズム」に依拠しているといってよい。人は、自分のプライドや善意に関わらない限りにおいて、常に「上手な立ち回り」をしようとしている。このような賢い行動のことを「経済合理的」という。ミクロ経済学では、企業や消費者の経済合理的な行動を前提として、その相互のからみあいから、経済現象を説明するのである。したがってこの知識は、諸君が実業界で活躍するとき、余すところなく活かすことができるだろう。なぜなら、競争社会でのビジネスにおいては、相手の出方を事前に想定して戦略をたてたり、自分の行動がライバル企業や消費者にどんなシグナルを送ることになるかを踏まえたりして、合理的な行動を模索する必要があるからである。 本講義では、企業の戦略について講義する。前期にプライステイカー企業の戦略と完全競争均衡を講義したのを受けて、後期には、独占企業の戦略と独占均衡、寡占企業の戦略とクールノー=ナッシュ均衡を講義する。それを前提として、社会で大きな問題になっている独占禁止法や談合のメカニズムなどを見直す。 数学は数Iまでの計算で済ますが、それもちゃんと復習するので安心せよ。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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独占と寡占の経済メカニズムの理解を目標とする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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講義内の問題演習を抜き打ちで4~5回実施し、出席ボーナス点を与える(計30点程度)。それに期末テスト(70~80点満点)の点数を加えて評価する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:小島 寛之 『MBAミクロ経済学』(日経BP社)
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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必ず出席して、課題をこなして、ボーナス点を獲得すること。データから見て、出席回数の少ない学生は高確率で単位を落としている。あまり出席しないつもりの学生(特に4年生)は、履修しないで欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明 【第2回】 前期の復習~プライステイカー企業と完全競争均衡 【第3回】 独占とは何か~定義と実例 【第4回】 独占企業の目的関数 【第5回】 独占均衡 【第6回】 限界費用を使って、独占とプライステイカーを比較する 【第7回】 独占は市場の失敗の1つ 【第8回】 寡占とは何か~定義と実例 【第9回】 寡占企業の目的関数 【第10回】 複占企業の最適反応関数 【第11回】 クールノー=ナッシュ均衡 【第12回】 複占のクールノー=ナッシュ均衡を解く 【第13回】 寡占のクールノー=ナッシュ均衡と完全競争均衡への漸近 【第14回】 談合の問題を考える 【第15回】 講義の遅れに対する調整またはクールノー・ナッシュ均衡の総括
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