Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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産業・企業研究特講 I 佐久間 昭光
選択  2単位
【経営学専攻】 09-1-1120-1700-23A

1. 授業の内容(Course Description)
 イノベーションという用語は、日本語では技術革新と訳される。イノベーションとは、新しい製品や生産の方法を成功裏に導入すること意味する。経済発展にとってのイノベーションの重要性とその意義を明らかにしたのは、ケインズとほぼ同時代の大経済学者シュムペーターで、つぎのように述べている。
 「資本主義のエンジンを起動せしめ、その運動を継続せしめる基本的衝動は、資本主義的企業の創造にかかる新消費財、新生産方法ないし新輸送方法、新市場、新産業組織形態からもたらされるものである」(J. A. シュムペーター『資本主義・社会主義・民主主義』3版 中山伊知郎/東畑精一訳 1950 上巻 p.150 東洋経済新報社)
 このようなイノベーションの意義は、現在のどの国の経済発展でも変わりはない。この授業では、4.でテキストとしてあげる書物を手懸かりにして、イノベーションの現在的意義、内容および課題を検討していく。そこでは、日本における歴史的経緯が取り上げられ、アメリカのイノベーション・システムとの比較が行われる。また、日本のイノベーションシステムの変革についての提言が行われている。
 いずれの国においても、どのようなイノベーション・システムを構築していくかは、その国の経済発展にとって、重要な課題である。
 この授業では、前半は、講義形式で授業を進める。後半は、受講者が分担して、テキストの内容を報告するゼミナール形式で授業を進めていくことを予定している。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 イノベーションに関する基礎的な用語と概念を正しく理解し、修士論文等のテーマを考える手懸かりとする。また、秋期の産業・企業研究特講Ⅱを特別の予備知識を持たずに受講できる準備とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末のレポートと出席状況、参加態度を併せて総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストとして、つぎの書物を用いる。
  後藤 晃(2000)『イノベーションと日本経済』岩波書店
 また、日本の時代的背景を理解するには、つぎの書物が有用であろう。
  橋本 寿朗(2007)『戦後の日本経済』岩波書店
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 秋期講義(産業・企業研究特講 II )と併せて履修することが望ましい。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション
【第2回】
 I.イノベーションとは何か (1)シュムペーター仮説(2)デマンド・プル、テクノロジー・プッシュ
【第3回】
 (3)占有可能性
【第4回】
 II.日本の産業発展とイノベーション(第二次大戦まで)(1)産業構造の変化
【第5回】
 (2)教育システムの構築(3)技術導入と研究開発 
【第6回】
 III.戦後の産業発展とイノベーション(1)復興策から高度成長へ
【第7回】 
 (2)活発な技術導入とイノベーション
【第8回】
 (3)政府の介入(4)強い競争力の獲得
【第9回】
 IV.アメリカのイノベーションシステム(1)80年代までのシステム(2)政府の役割の大きさ  
【第10回】
 (3)ベンチャービジネスの活躍(4)大学の役割
【第11回】
 V.日本のイノベーションシステム(1)研究開発の国際比較
【第12回】
 (2)企業のマネジメントと産業組織
【第13回】
 VI.日本のイノベーションシステムをどう変えていくか(1)技術政策
【第14回】
 (2)大学の役割  提出レポート課題  
【第15回】
  まとめ レポート提出