Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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東洋史概説 II 愛宕  元
選択  2単位
【教育】 09-1-1340-1680-16A

1. 授業の内容(Course Description)
 中国の歴史は新石器定住農耕文化の発祥以来、殷に始まる王朝の成立を経て現代中国に至るまで、いくつかの遊牧系・狩猟系の異民族による「征服王朝」が介在するものの、文化と伝統の断絶することのない唯一の歴史世界である。したがって、中国史を知るためには時間軸に沿った通史としての理解がきわめて重要となる。
 秋期の講義では、三国時代を統一した西晋、晋の南遷以降の南朝の興亡、華北の五胡十六国時代の複雑な歴史展開、十六国を統一した北魏、北魏孝文帝の過激な華化政策、その反動である北魏の東西分裂、分裂の過程で形成されてくる胡漢混淆の新興勢力が隋・唐という統一帝国を樹立する時期を通史として概観する。30年来の中国での現地踏査での見聞や体験記をまじえて講義を進める予定である。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 中国史を時間軸に沿った通史として理解することが、本講義の主目標である。南北朝と言う分裂の時代に漢族と胡族(五胡)の融合が新しい歴史的エネルギーを生み出し、その後の隋唐帝国が成立する重要な準備期間であった。中国史の最もダイナミック時代を通史として簡潔に概説し、中国史により大きな関心を持たせる。

3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席点と2・3回実施する小テストを加味しながら、学期末の試験で総合評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:愛宕 元・冨谷 至 編『中国の歴史』上(昭和堂、2,300円)。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 現代中国を知るには、その背景にある長い断絶のない中国の歴史展開の理解は欠かせません。中国の歴史に関心のある人はぜひ受講してください。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス、三国時代以降の中国の歴史展開を概観。
【第2回】
 曹魏・孫呉・蜀漢という三国時代の中国史上での位置づけ。
【第3回】
 司馬懿・師・昭三代にわたる革命工作と司馬炎(西晋武帝)の魏晋革命。
【第4回】
 西晋武帝の統一、2代目恵帝のまれにみる暗愚、王族の権力闘争、八王の乱,永嘉の乱、五胡乱華。
【第5回】
 晋室の南遷(東晋)、宋・斉・梁・陳の南朝の興亡。
【第6回】
 南朝梁武帝期の南朝黄金時代、都城建康の繁栄。
【第7回】
 成り上がりの軍閥出身である南朝皇帝の権力基盤の弱さ、伝統ある貴族勢力との微妙な関係。
【第8回】
 南北朝期の貴族制社会の特質、中国中世貴族とは。
【第9回】
 華北の五胡十六国の展開、遊牧民族匈奴・羯・氐・羌・鮮卑と中国との関わり。
【第10回】
 鮮卑族拓跋部の北魏による華北の統一、北魏がなぜ大分裂を統一出来たのか。
【第11回】
 北魏孝文帝の過激な漢化政策、平城から洛陽への遷都。
【第12回】
 漢化政策による漢族と胡族の融合、そのプラス面とマイナス面。
【第13回】
 孝文帝徙後の漢化政策への強烈な反動、漢化か胡族固有の民族性保持かのジレンマ。
【第14回】
 北辺最重要の六鎮の乱、国内要衝の城民の乱、国内総内乱の過程で台頭した新興軍閥が新たな政権構築。
【第15回】
 北魏の東西分裂、東魏の高氏、西魏の宇文氏の出身。