Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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地理学特殊講義 I 三上 岳彦
選択  2単位
【教育】 09-1-1340-1707-18A

1. 授業の内容(Course Description)
  過去から現在まで、地球の気候は変動を繰り返しており、人類の生活や社会・文化もその影響を大きく受けてきた。最近では、地球温暖化問題にみられるように、人間活動が気候を変えようとしている。
 本講義では、人類の祖先が地球上に出現してから現在まで、すなわち新生代第四紀(過去200万年間)の気候変動について、変動の実態とその原因を詳しく解説し、世界と日本の政治・文化・社会・生活の歴史との関わりを考察する。特に、日本と世界の歴史時代の様々な記録から気候変動を復元・推定する手法について具体的事例を紹介する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 気候変動と人間活動の関わりを、「歴史気候学」の視点から理解することをめざす。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 定期試験と出席状況から総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは使用しない。原則として、毎回プリントを配布する。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 毎回、出席調査を兼ねた質問・感想カードを授業開始時に配布し、授業終了時に回収する。20分以上遅刻した者には配布しないので、定刻までに入室すること。質問への回答は、原則として次回の講義開始直後に行う。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 過去200万年間の気候変動:氷期・間氷期サイクルとその原因
【第3回】
 過去2万年間の気候変動:氷期から現在の間氷期への移行はどのように起こったか
【第4回】
 過去1万年間の安定した気候と文明の発展
【第5回】
 過去2000年間の気候変動:中世の温暖期と近世の小氷期
【第6回】
 歴史時代の気候復元(1)花粉分析:樹木の花粉が語る過去7000年の気候変動
【第7回】
 歴史時代の気候復元(2)年輪分析:樹木の年輪から気候の歴史を探る
【第8回】
 歴史時代の気候復元(3)生物季節:ワイン用ブドウの収穫日記録、桜の開花・満開日記録から気候変動を推定する
【第9回】
 歴史時代の気候復元(4)湖水・河川の結氷記録:テムズ川結氷記録・諏訪湖御神渡記録から小氷期の気候を復元する
【第10回】
 歴史時代の気候復元(5)古文書記録:江戸時代の藩日記・天候記録から小氷期の気候変動を復元する試み
【第11回】
 19世紀の気候変動(1):太陽活動・火山活動と気候変動
【第12回】
 19世紀の気候変動(2):日本最古の気象観測データ「シーボルトによる長崎出島の気象観測記録」
【第13回】
 19世紀の気候変動(3):温暖化と寒冷化が繰り返された幕末期の気候激変
【第14回】
 歴史と気候の関わり:歴史気候学のすすめ
【第15回】
 まとめ