Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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東洋史特殊講義 II 森  紀子
選択  2単位
【日本文化】 09-1-1340-1873-12A

1. 授業の内容(Course Description)
 <中国近世の社会秩序>
 伝統的な中華帝国といえば、皇帝を頂点とする中央集権的官僚制度が先ずイメージされるでしょう。しかし、官僚制度を支える科挙の実施は、近世社会に相当の流動性を与えるとともに、行政の末端である「県」以下の基層社会にはある種の分散性がみられます。「手からこぼれる砂のような」と形容される社会に対して、どのように秩序を与えていくのか、という問題は歴代の王朝が腐心したところであり、「儒教」によるたゆまぬ教化活動が試みられたわけです。そしてそれはまた、広く東アジアの伝統社会にも大きな影響を与えました。
 本講義では社会規範としての「儒教」がどのように庶民層にまで浸透させられていったのか、その具体的な方策と、与えられた「儒教」の内容について考えたいと思います。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 中国近世社会の特性について理解すること。
 東アジアの伝統社会に大きな影響を与えた「儒教」の基本的な内容を理解すること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 学期末試験の成績及び授業中に指示する課題、小テストの成績を加味して評価する。
 出席状況6割以上を受験資格とする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 プリント資料を配布する。
 参考文献:森紀子『転換期における中国儒教運動』京都大学学術出版会、2005年
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 配布された資料はきちんと保管して授業に携帯すること。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 時代区分としての中国的近世
【第2回】
 中国近世社会の構造(科挙体制)
【第3回】
 中国近世社会の構造(県と郷村)
【第4回】
 郷村の組織(里甲)
【第5回】
 皇帝の教え(六諭)
【第6回】
 教えと法律(明律) 
【第7回】
 教えと法律(明律)
【第8回】
 宣講
【第9回】
 郷約
【第10回】
 通俗道徳の「孝」
【第11回】
 「烈女」
【第12回】
 近世儒教の特質
【第13回】
 朱子学と陽明学
【第14回】
 泰州学派
【第15回】
 まとめ