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授業の内容(Course Description) |
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<中国近世の社会秩序> 伝統的な中華帝国といえば、皇帝を頂点とする中央集権的官僚制度が先ずイメージされるでしょう。しかし、官僚制度を支える科挙の実施は、近世社会に相当の流動性を与えるとともに、行政の末端である「県」以下の基層社会にはある種の分散性がみられます。「手からこぼれる砂のような」と形容される社会に対して、どのように秩序を与えていくのか、という問題は歴代の王朝が腐心したところであり、「儒教」によるたゆまぬ教化活動が試みられたわけです。そしてそれはまた、広く東アジアの伝統社会にも大きな影響を与えました。 本講義では社会規範としての「儒教」がどのように庶民層にまで浸透させられていったのか、その具体的な方策と、与えられた「儒教」の内容について考えたいと思います。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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中国近世社会の特性について理解すること。 東アジアの伝統社会に大きな影響を与えた「儒教」の基本的な内容を理解すること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末試験の成績及び授業中に指示する課題、小テストの成績を加味して評価する。 出席状況6割以上を受験資格とする。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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プリント資料を配布する。 参考文献:森紀子『転換期における中国儒教運動』京都大学学術出版会、2005年
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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配布された資料はきちんと保管して授業に携帯すること。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 時代区分としての中国的近世 【第2回】 中国近世社会の構造(科挙体制) 【第3回】 中国近世社会の構造(県と郷村) 【第4回】 郷村の組織(里甲) 【第5回】 皇帝の教え(六諭) 【第6回】 教えと法律(明律) 【第7回】 教えと法律(明律) 【第8回】 宣講 【第9回】 郷約 【第10回】 通俗道徳の「孝」 【第11回】 「烈女」 【第12回】 近世儒教の特質 【第13回】 朱子学と陽明学 【第14回】 泰州学派 【第15回】 まとめ
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