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授業の内容(Course Description) |
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臨床心理学は、心理学を理論的基礎とし、社会に生じるさまざまな「心理的ニーズ」を見立て、支援を実施し、その効果を総合的に判断するための実践的学問である。応用心理学の一分野と位置づけられるが、社会の中での実践活動を通して、精神医学や福祉学、教育学とも相互に影響しあい、心理学理論の新たな展開に貢献している。 臨床心理学は、①見立て(アセスメント)、②介入(心理療法、地域援助)、③研究(実践研究、評価研究)、④社会的位置づけ(倫理、法律、資格など)、の大きく4つに分けることができる。本講義では、特に①見立てと③研究、④社会的位置づけを中心に論じる予定である。②介入は、後期開講の「心理療法概論」でふれる。 臨床心理学的見立てにおいては、異常心理学と心理検査が重要となる。異常心理学では、統合失調症、気分障害、不安障害といった基本的な異常心理のみならず、性障害、リストカット、解離性障害といったトピックスも取り上げたい。心理検査については、「臨床アセスメント法」の講義で詳しく取り上げられるであろう。 将来臨床心理士になりたい人、悩んでいる人への支援を考えている人、心理学と社会との関連に関心のある人には、この講義で出てくるテーマから、さまざまな生き方について学び、考えてもらいたい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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成績評価方法(Grading Policy) |
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試験85%、レポート15%
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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『よくわかる臨床心理学』 下山晴彦編 ミネルヴァ書房
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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異常心理学について、さまざまな「異常な心理」が紹介される。しかし、これらの問題で悩む人々を、興味本位でながめることがないようお願いしたい。なぜならば、これらの異常性そのものが、その人の生き方そのものであるからである。たとえば、統合失調症の人は、病に悩み苦しみながら、それでもどう生きるかを真剣に模索している。私達は、異常性や病から、多くのことを謙虚に学ぶべきであろう。 臨床心理士を目指し大学院進学を希望する人は、この講義内容を深く理解すると同時に、紹介される書籍(文献)を主体的かつ意欲的に読む必要がある。そもそも臨床心理学を学ぶものは、膨大な書籍や論文を読む姿勢が求められることを肝に銘じてほしい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ・前期ガイダンス ・臨床心理学とは何か? 【第2回】 ・臨床心理学の専門性 ・臨床心理学の実際 【第3回】 ・臨床心理学の歴史 【第4回】 ・臨床心理学における見立てについて ・正常性と異常性 【第5回】 ・異常心理学 I (統合失調症、気分障害) 【第6回】 ・異常心理学II(ストレス性障害、適応障害) 【第7回】 ・異常心理学III(人格障害ほか) 【第8回】 ・異常心理学IV(発達障害ほか) 【第9回】 ・異常心理学V(さまざまな問題) 【第10回】 ・アセスメントの方法 【第11回】 ・臨床心理学における研究とは? ・実践と研究のバランス 【第12回】 ・質的研究と量的研究 ・効果研究 【第13回】 ・臨床心理学の最近のトピックス 【第14回】 ・臨床心理学の社会の中での役割 ・臨床心理士の国家資格について 【第15回】 ・まとめ
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