Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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観光政策・行政論A 澤井 安勇
選択必修  2単位
【観光経営】 10-1-1130-0705-01

1. 授業の内容(Course Description)
 観光の語源は、古代中国の易経の中の「観国之光」(国の光を観(しめ)す)という一節から来たものですが、国の光とは、単に名所・風景等を指すのではなく、その国(地域)が良く治まっている様子を表したものとされています。これを公共政策論的に言えば、グッド・ガバナンス(良き統治)の成果を見せることが観光につながると解釈できるでしょう。特に、都市化時代ともいわれる現代の観光は、都市観光が主体になると思われますが、良好な都市ガバナンスの結果として、市民にも観光客にも魅力ある都市の佇(たたず)まいが形成されるものであり、「住んでよし、訪れてよしのまちずくり」という都市政策論とも共通したものがあります。本講義では、都市の観光政策を地方分権と市民社会という現代の公共政策的パラダイムを前提として都市ガバナンスの仕組みの中で観光政策の持つ意義等を考えていきたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 「都市と市民の世紀」といわれる現代政治社会の状況と観光政策を含む地方自治体の政策が機能する行財政フレーム、すなわち現代地方自治の仕組みの基本を理解し、その中で、観光政策の位置づけを考えてもらいたいと思います。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席点30%、期末定期試験70%
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 (参考文献)
 『地方自治の法としくみ』、原田尚彦、学陽書房
 『ソーシャル・ガバナンス』、神野尚彦・澤井安勇、東洋経済新報社
 『都市のシステムと経営』(岩波講座『都市の再生を考える』6)、植田和弘ほか、岩波書店
 『価値を創る都市へ』、佐々木雅幸ほか、NTT出版
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 いろいろな機会に、自分自身の日常生活と市町村・区など身近な地方自治体との関係について調べてみよう。
 また、本講義は、特定の教科書を使わず、毎回の講義のスライドなどが教材となります。極力出席して、聴講しないと全体の理解が困難になりますので、出席してください。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション、導入的講義
【第2回】
 「都市と市民の世紀」の意義について
【第3回】
 都市経営と観光政策の関係について
【第4回】
 都市経営の仕組みと地方自治について(1)基本的な構造
【第5回】
 都市経営の仕組みと地方自治について(2)最近の動向・課題
【第6回】
 都市経営の仕組みと地方自治について(3)今後の展望
【第7回】
 都市と市民社会について
【第8回】
 分権・市民社会の新たなガバナンスについて(1)多様な社会的アクターによるガバナンス
【第9回】
 分権・市民社会の新たなガバナンスについて(2)市民組織のまちづくりへの参加
【第10回】
 魅力的な都市の空間・環境づくりについて
【第11回】
 現代都市政策の新たなトレンド(1)EU諸国の動向
【第12回】
 現代都市政策の新たなトレンド(2)創造都市政策他
【第13回】
 文化政策と観光政策の関係について
【第14回】
 再び都市経営と観光政策について:わが国の状況を踏まえて
【第15回】
 まとめ