Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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グリーンツーリズム論 松本  修
選択必修  2単位
【観光経営】 10-1-1130-2713-02

1. 授業の内容(Course Description)
 担当教員の生まれ育った町では、少し行くと町外れになり、その先には田んぼや畑が広がり、青い山々が見えていた。大学に入って東京に出て来た当初、いくら行っても町並みが続き、どこにも山が見えないことに息苦しさを感じた記憶がある。そのような育ちの者に限らず、田舎の環境には何か人をほっとさせるものがあるのではないだろうか。
 グリーンツーリズムとは、このような農村地帯の魅力に着目し、そこで過ごす滞在型の旅行のことであり、いわば「ふるさと」としての農村空間との触れ合いにより、都市生活のストレスの解消、活力と健康の再生産を行う観光の形態である。
 同時に、このような観光においては、農村にとっても、風土に根ざしたありのままの暮らしや景観を観光資源とすることにより、経済的、社会的に地域の活性化が図られ、それがまた農村の魅力の再生産につながるという効果が期待されている。
 ヨーロッパ諸国では、1970年代から都市住民の農村滞在が盛んになっていたが、我が国では、特に、農業所得の低下、過疎化、高齢化等により疲弊が進む農村の再生策として、政策的にこのような形態の旅行が注目されるようになり、その振興に向けての施策が採られるようになった。
 いずれにしても、都市と農村の交流の中から双方にメリットが生じ、かつ、これが観光魅力の保全にも資するという観光形態は、持続可能な観光の在り方として興味深いものである。また、住民が当たり前のこととして普段気付かない地域の魅力を再発見し、それを上手に観光に利用するという考え方は、農村に限らず、地域振興の方策一般へ応用できるのではないだろうか。
 この授業においては、このようなグリーンツーリズムについて、基本的な知識と理解を深めるとともに、学生諸君の興味喚起を試みることとする。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 グリーンツーリズムについて基本的な知識と理解を得ること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業への出席状況を30%、期末定期試験の結果を70%として総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:向山秀昭 著『グリーンツーリズム論ノート』国際観光サービスセンター
      必要に応じて補足の資料を配布する。
 参考文献:多方一成 著『スローライフ、スローフードとグリーン・ツーリズム』東海大学出版会
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 インターネットを探ってみても、グリーンツーリズム的な観光メニューが各地で多く用意されている。グリーンツーリズムへの理解を深め、また、その実践の現状を知る意味からも、一度自ら楽しんでみられたら良いと思う。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
 概ね以下のような流れを考えているが、授業開始後の状況に応じて適宜、計画を変更することがあり得る。
【第1回】
 授業方針及び講義計画
【第2回】~【第4回】
 グリーンツーリズムの概念
【第5回】・【第6回】
 グリーンツーリズムを促した背景(農村側の要因)
【第7回】・【第8回】
 グリーンツーリズムを促した背景(都市側の要因)
【第9回】・【第10回】
 諸外国のグリーンツーリズムの動向
【第11回】・【第12回】
 日本のグリーンツーリズム政策の推移
【第13回】・【第14回】
 日本各地のグリーンツーリズムへの取組み事例
【第15回】
 日本のグリーンツーリズムの課題