Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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日本史演習8B- I 影山 好一郎
選択必修  2単位
【史】 10-1-1340-1840-05

1. 授業の内容(Course Description)
 標題「太平洋戦争への道」を履修することにより、“日本は、結果的に、なぜ、勝算も、終結の目途もない太平洋戦争に突入するような道を選んだのか?”という素朴な疑問に対する答えを考察する。学生は、以下の「授業の計画」に示された、幕末・開国から太平洋戦争終結までの期間における歴史上の諸事件、事案、内紛、戦争等の幾つかのサブテーマから一つないし二つを取り上げ、日本が「太平洋戦争へ突入して行く因果関係」を把握し、太平洋戦争の本質、特質、戦争指導者等の人物像、係わり等を含めて分析研究する。重要なことは、如何なるサブテーマも、表層に惑わされず、構造的な問題として捉え、内容を拡散させることなく、結論の抽出に専念することが重要である。(太平洋戦争の研究は、その人の意識や視点によって無尽蔵に教訓を学び取ることができる)
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ① 本セミナーは全授業(15回)を参加することが前提である。自己の研究発表分は確実に責任をもって対応し、他の学生の研究発表に対しても確実に全回参加し、積極的な質疑応答を行なわなければならない。
 ② 太平洋戦争の原因に関する見解、戦争と国家・社会・国際関係の係わり、戦争は何故起こるのか、その抑止と対処のために何をどうすべきか、日本人の性向・特性等に関して因果関係を構造的に捉え、自己の意見を持ち、今後将来の参考事項を学び取ることを到達目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業参加は、全回出席が前提である。各自、太平洋戦争への道を探求するにふさわしいサブテーマを選び、関係史資料を収集・調査・研究を行い、「註」を確実に付し、小論文として提出し、発表・討議を行う。それらの実績を総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 ① テキストは、第一回のオリエンテーション時に配布し、学生が以後のサブテーマを選定できるように指導する。
 ② 参考文献
   * 黒野耐『日本を滅ぼした国防方針』(文芸春秋、平成14年)
   * 日本国際政治学会『太平洋戦争への道』(朝日新聞社、昭和38年)
   * 臼井勝美『満州事変』(中央公論社、昭和63年)
   * 古屋哲夫『日中戦争』(岩波書店、1993年)
   * 波多野澄雄『大東亜戦争の時代』(朝日新聞社、昭和63年)
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 今日の日本国内の諸事件、諸事案の発生状況を概観すれば、日本(社会および日本人)は、およそ自国に対する歴史に無関心であり、日本人としての誇りを亡くしているように思われる。それは多くの日本人が戦後、“戦争を悪として捉え、考えることすら否定した”ことの“つけ”の結果であり、それが表現されているともいえる。真に平和を願うのなら、逆に真に“戦争を学ぶ”べきであろう。
 受講態度は何れの授業においても、“太平洋戦争突入への影響如何”という観点で貫かれなければならない。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーシヨン(授業目的、到達目標、講義内容等の説明)
  ・ 「武」「軍事」「戦争・平和」とは何か。
  ・ 戦争の本質、安全保障の本質
  ・ 太平洋戦争原因論の研究現状と紹介
  ・ サブテーマの説明・紹介
  ・ 研究方法と論文作成法の説明
  ・ 研究の配慮事項、参考文献・図書の紹介
【第2回】
 江戸末期以降の西力東漸の実態と日本の対外態度
【第3回】
 ペリー来航に伴う幕府の対応と歴史的意義
【第4回】
 薩英戦争・馬関戦争(四国連合艦隊報復事件)の歴史的意義
【第5回】
 陸海軍の創設と統帥権独立 
【第6回】
 日清戦争の原因と戦争準備
【第7回】
 日清戦争の教訓と歴史的意義(戦闘、終戦処理、講和条約等)
【第8回】
 日露戦争の原因と戦争準備
【第9回】
 日露戦争の教訓と歴史的意義(戦闘、終戦処理、講和条約等)
【第10回】
 日露戦争後の国家経営(帝国国防方針の初度制定、満州経営等)
【第11回】
 第一次世界大戦と日本(参戦の実態、軍備増強と限界)
【第12回】
 対華21カ条要求問題とその影響
【第13回】
 ワシントン体制(戦後の極東新秩序、五国・九国・四国条約)
【第14回】
 日本海軍の軍縮問題の顛末とその意義(ロンドン会議、統帥権干犯問題等)
【第15回】
 世界経済恐慌と日本の苦境(国内不況、陸海軍の軍備計画への影響等)