Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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学校臨床心理学特論 I 元永 拓郎
選択  2単位
【臨床心理学専攻】 10-1-1360-0535-02

1. 授業の内容(Course Description)
 学校をコミュニティ(地域)と考えるならば、学校における心理臨床活動は、地域援助活動のひとつと位置づけることが可能である。文部科学省は、スクールカウンセラーの公立小学校・中学校・高等学校への配置を進めている。その動きに連動する形で、私立中学校・高等学校においてもカウンセラーの配置が進みつつある。そして、学校をコミュニティとみなし、さまざまな活動が展開されてきている。
 子供たちのメンタルヘルス上のさまざまな課題に学校現場が直面している。不登校、ひきこもり、中退といった社会的に回避の方向に進む問題もあれば、いじめ、学級崩壊、対教師暴力、非行、凶悪犯罪といった社会的逸脱の方向に展開するものもある。低学力化、発達障害、児童虐待、性犯罪も含めた犯罪被害などの多様な問題が、学校の内外で発生している状況にある。近年では、特別支援教育への対応も重要となっているところである。
 これらの問題へ対応するために、学校は多くの努力を行っている。スクールカウンセリングのみならず、学生ボランティアの活用、心理教育、ピアサポートなどさまざまな活動が展開されつつある。教員自身が子どものメンタルヘルスをサポートするための活動を広く展開しているところもある。しかし一方、学校教育の制度疲労、教員自身のメンタルヘルスの悪化などの問題も生じている。
 このような中で、学校心理臨床の現状と課題について、地域援助の考え方を導入しながら検討するのがこの特論の目標である。すでに学外実習で経験している経験や事例についても、取り上げ議論することもある。また、学校心理臨床活動の重要なテーマについては、文献を読み込み各自が発表することになる。学校の中に相談室を開設することが、学校心理臨床活動ではない。相談室を出て、学校全体の心のサポート力を高めるためのさまざまな活動を展開することが重要となる。それらの活動について具体的に考えていきたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 実際の学校現場において、スクールカウンセリング活動を実施するための理念と基礎的知識を得ることが目標となる。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席50%、授業内発表25%、レポート25%
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
『受験生、こころのテキスト』 元永 拓郎・早川 東作 編著 角川書店
『新しいメンタルヘルスサービス』 元永 拓郎著 新興医学出版社
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 水曜日必修授業の午後の時間帯であり、修士1年と2年とが合同で行なう授業である。臨床に関する重要な案内等も行なうことがあるので、臨床を目指す院生は出席することが求められる。昨年開講の「学校臨床心理学特論II」とは別授業となるので、昨年該当の授業をとった院生も、出席してほしい。将来スクールカウンセラーや学校臨床を目指そうと考えている人は必ず選択すること。学校臨床を目指さない人にも、コミュニティ介入を理解する上で学校臨床はぜひとも深く学んでおきたいところである。学校フィールドの実習先の事例検討を行なう中で、実際のかかわり方について深めていくことになる。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ・授業ガイダンス
 ・学校臨床心理学とは?
 ・地域援助としてのスクールカウンセリング
【第2回】
 ・学校心理臨床の基本的枠組み
 ・コミュニティとしての学校
【第3回】
 ・学校メンタルヘルスサービスのモデル
 ・大学受験予備校における展開
【第4回】~【第14回】
 ・学校における心理臨床活動の実際
 ・事例検討
【第15回】
 ・まとめ
 ・レポート課題