Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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日本文化講読(古典文学A) I 木村 康平
選択  2単位
【日本文化】 10-2-2110-0181-07

1. 授業の内容(Course Description)
 万葉集を読みます。
 万葉集にしるされた最後の歌は天平宝字3年(759)の成立ですから、今年で1251年が経過することになります。そして、さらにその130年前の舒明朝(じょめいちょう)(629~641)の作品が実質的には最も初期の掲載歌となります。万葉集は我が国に現存する最古の和歌集なのです(若干の漢詩文を含む)。
 ずいぶん古い時代の和歌ではありますが、意外にも、今日のわたしたちの美意識や文章表記の方法など、さまざまなところで万葉集は影響を及ぼしています。万葉集を知ることは、わたしたち自身を知ることにつながるといえるでしょう。
 古文の読解や文法が苦手な人にも、万葉びとの心が伝わるような授業を心がけたいと思いますが、今日の万葉集研究が何を目指しているのかについてもふれたいと思います。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 古代和歌に関する基礎知識を学ぶとともに、万葉人の暮らしや思想・宗教などについて理解することを目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 レポート試験(40%)と出席状況を含む平常点(60%)をあわせて評価します。特に出席を重視します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 プリントを用意します。また、必要に応じて参考文献を紹介します。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 出席することがたいせつです。試験だけでは単位を取得することはできません。また、遅刻をしないこと。授業のマナーを守ること。授業時のケータイの使用は認めません。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 王の歌(1)春の訪れと求婚の儀礼
【第2回】
 王の歌(2)国見の儀礼と天皇の世界の成立
【第3回】
 王の歌(3)狩の歌―地霊と豊饒
【第4回】
 和歌とは何か(神の謎言葉と神婚)
【第5回】
 和歌の様式(和歌の二部構造と五七定型の成立)
【第6回】
 万葉集の基礎知識(1)
【第7回】
 万葉集の基礎知識(2)
【第8回】
 額田王(1)抒情の方法の発見
【第9回】
 額田王(2)恋歌の成立(心というもの)
【第10回】
 悲劇の皇子(1)政争の中で非業の死を遂げた皇子たち
【第11回】
 悲劇の皇子(2)王権への叛逆者を歌うことの意味
【第12回】
 ナンセンスな歌(長奥麻呂)・歌ことばの成立(鶴を和歌でタヅと呼ぶのはなぜか)
【第13回】
 東国の歌と文化(1)王権と関東、東海地方の和歌の関係(コミュニケーションのツールとしての和歌)
【第14回】
 東国の歌と文化(2)東国の人々の暮らしと和歌・防人歌
【第15回】
 まとめ