1. |
授業の内容(Course Description) |
|
「長期にわたる無料の精神療法は有害である」と臨床場面ではよく言われる。その意味するところがわかるだろうか。心理臨床に携わろうとする者は、どのような心理療法がどのようなこころの病に有効なのか、また有害、禁忌なのかを知り、それを見立てることが求められる。またそもそも病とは何か、「治る」とはどういうことか、といった基本的な問題に立ち返って考えていくことも必要であろう。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
本講義では、症状、経過、病歴にそって精神障害を診断・治療するための知識を修得するだけではなく、一人の人間としてクライアントを理解することに重点を置き、力動精神医学、特に精神分析学の観点からこころの病をどう理解するか学ぶ。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
報告・討論への参加を通して、各自の理解力・考察力および表現力などを総合的に判断する。出席点も考慮する。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
テキスト1:ギャバード著 『精神力動的精神医学―その臨床実践[DSM-IV版]〈2〉臨床編1軸障害』『精神力動的精神医学―その臨床実践[DSM-IV版]〈3〉臨床編 2軸障害』(全3巻)岩崎学術出版社 テキスト2:1.『知っておきたい精神医学の基礎知識―サイコロジストとコ・メディカルのために』(単行本) 上島 国利(編集),平島 奈津子(編集),上別府 圭子(編集)誠信書房 参考文献:HPなどでその都度呈示する。
|
5. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
この講義は秋期の「心身医学特論」および通年の「臨床心理面接特論」と連動している。履修者は秋期に「心身医学特論」を履修することが強く望まれる。 心身医学特論、精神薬理学特論、臨床心理面接特論など (学部:精神病理学概論、精神医学概論、精神薬理学概論、精神分析学、精神保健の理論と実際など) 適宜池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)を参照すること。 真剣に学ぼうとしている他の院生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話、担当時の欠席など)。 主体的・創造的な参加が望まれる。
|
6. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
テキストを読み合わせ、議論する。基本的にはテキスト1を使用するが、 I 軸障害については、テキスト I の前にテキストIIを使用する。発表者は事前に十分に内容を理解するよう努力して、それを要約したレジュメや参考文献、資料を準備してA4、2~4枚程度にまとめ、当日は他の履修者が内容を理解できるように発表する。討論者には質問と討論の中心になることが求められる。発表者には、こうした質問や討論に対応できるだけの準備が求められることになる。 テキスト I の量が多いため、他の履修者も事前にテキストの該当部分を読んでおかないと実のある学習ができないので注意すること。 概ね以下の順番で行う予定である。 発表者、討論者の分担決定など。 総論:精神医学の歴史、精神障害の考え方、精神病理学概論、診断学、症状学、治療法など テキスト2:統合失調症 2.Ⅰ軸障害への力動的アプローチ(1)統合失調症(精神分裂病) テキスト2:気分障害 2.Ⅰ軸障害への力動的アプローチ(2)感情障害 テキスト2:不安障害 2.Ⅰ軸障害への力動的アプローチ(3)不安障害 テキスト2:解離性障害 2.Ⅰ軸障害への力動的アプローチ(4)解離性障害 テキスト2:物質関連障害と摂食障害 2.Ⅰ軸障害への力動的アプローチ(6)物質関連障害と摂食障害 テキスト2:認知症 2.Ⅰ軸障害への力動的アプローチ(7)認知症(痴呆)とその他の認知障害 3.II軸障害への力動的アプローチ (1)A群人格障害(妄想性、分裂気質、分裂病型) (2)B群人格障害(境界性、自己愛性、反社会性) (3)C群人格障害(強迫性、回避性、依存性) テキスト2:精神科関連の法と制度の基礎知識 臨床心理学と精神医学との接点 小テスト
|