Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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国際理解 II - II 高梨 和紘
選択  2単位
【人間文化】 10-1-1110-1895-22A

1. 授業の内容(Course Description)
 世界経済のグローバリゼーションの流れは、もはやこれを止めることは不可能に近い。では何ゆえに世界経済は財・サービスや資本のより自由な国際間での移動を求め、WTO体制を強化することに熱心なのであろうか?「日本と国際経済II」では、こうした貿易自由化の論拠となった諸理論の系譜を辿ることからはじめ、その理論的示唆に基づく国際貿易、資本移動のグローバルな枠組みや地域的枠組みを説明する。言うまでもなく世界経済には発展途上の経済も含まれており、第二次大戦後の時期、それら諸国も一次産品ばかりでなく製造工業品を国際市場へ輸出することとなるが、このプロセスは必ずしも容易なものではなかった。当時国連に誕生した国連貿易開発会議(UNCTAD)はこの状況に対処するため、戦後世界経済への発展途上国の参加に伴う問題を重ねて討議し、その甲斐あって途上国の輸出を容易にする優遇措置も採られるようになった。講義では以上のテーマに加え、日本の対外経済政策の今後の方向性を左右する諸側面について取り上げ、日本と国際経済の関係についての理解をいっそう深めたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 国際貿易は日本の歴史にもオランダの商館やその他南蛮の商船渡来の記録が多く残されている。近代になって重商主義が隆盛になると、経済学者達も国際貿易の促進を裏付ける国際貿易の理論分析を始めたが、諸君にはそれら学者の主張がどのようなものであったか、その概略を学んで欲しい。また、現在のWTO体制とそれら国際貿易理論が、どのように関連しているのかを考えて欲しい。さらに、発展途上国の工業化が進む中で、途上国をWTOの枠内にどのように抱き込むのが良いのか、そうした議論のポイントを理解してもらいたい。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末テスト、出席などの平常点によって総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 伊藤 元重著『ゼミナール国際経済入門』日本経済新聞社、2005.
 板垣・岩田・瀬戸共編『グローバル時代の貿易と投資』2003.
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 問題意識をもって、受講して欲しい。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 はじめに:貿易理論の系譜概観
  ①古典派の貿易理論
【第2回】
  ②新古典派の貿易理論
【第3回】
  ③ケインズ学派の貿易理論
【第4回】
 WTO体制
  ①その成立の経緯
【第5回】
  ②WTOの諸協定
【第6回】
  ③紛争処理規程
【第7回】
  ④WTO体制の課題
【第8回】
 FTA/EPAの展開
  ①協定の意義
【第9回】
  ②WTO体制との関係
【第10回】
  ③経済学的意義
【第11回】
  ④日本のFTA/EPA戦略
【第12回】
 発展途上国と国際貿易
  ①過去からの経緯
【第13回】
  ②UNCTAD/NIEO/OPEC
【第14回】
 直接投資と工業品輸出
 BRICの参入
【第15回】
 まとめ:日本の対外経済政策
 東アジア経済統合とAPEC