Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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イギリス社会文化論 I B 小山 郁夫
選択  2単位
【教育】 10-1-1410-0225-23A

1. 授業の内容(Course Description)
 ≪シュタイナー教育≫と宮沢賢治の作品を比較教材として使い、“社会の中で自分を磨く”というテーマで講義します。
 ≪シュタイナー教育≫はヨーロッパで生まれ、現在中国やインドを含む全世界で注目されている最新の教育方法です。一方宮沢賢治は、「注文の多い料理店」や「銀河鉄道の夜」などの物語作家として有名ですが、実は4年4ヶ月間教師をしたことがある人物です。
 コースの前半で、≪シュタイナー教育≫では人間の本質をどのように見ているか、人間の成長の周期性や社会性、コミュニケーションの中枢となる≪12の感覚器≫、対人関係をスムーズにするための≪4つの気質≫の理解、意志の力(=やる気の持続力)の育み方、また思春期の青年たちを社会との関係の中でどうのように考えているか、などを話します。
 後半は、宮沢賢治の「よだかの星」を読みながら、≪人間≫の心と精神の、社会における成長過程にスポットを当て、物語を鑑賞します。その過程で、≪シュタイナー教育≫の提案していることの正当性を、日本の社会にトランジットして具体的に考えていきます。
 中心の問いは、「自分流とは何か?」「人とかかわりつつ、どうしたら自分に自信が持てるようになるか?」「自分らしい生き方とは何だろうか?」「自分に似合う服や考え方を、どうやって探すか?」などです。これらの問いに、ドイツ発祥のシュタイナー教育と日本人である宮沢賢治との社会的人間観や世界観の「共通性」を探りながら、受講している学生たちの反応を取り入れつつ、答えていきたいと思います。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ①人とかかわりつつ、自分に自信をつけること。
 ②新しい自分を発見すること。
 ③社会の中で、自分で自分を磨く具体的な新しい方法を身につけること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業最終日の小テスト
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 シュタイナー教育に関しては適宜プリントを配布し、テキストは使いません。宮沢賢治については「よだかの星」をすべてプリントで配布します。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 ①秋学期の「比較社会論Ⅱ」をできる限り受講してください。
 ②授業はできる限り続けて受講してください。
 ③授業中の私語は控えてください。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 人間成長の周期性と社会性-社会における「からだ」・「心」・「精神」の発達について
【第3回】
 コミュニケーション理論と12感覚論(その1)-「触覚器」「生命感覚器」「運動感覚器」「平衡感覚器」「視覚器」「嗅覚器」「味覚器」「熱感覚器」
【第4回】
 コミュニケーション理論と12感覚論(その2)-「聴覚器」「言語感覚器」「思考感覚器」「自我感知感覚器」
【第5回】
 気質論と対人関係への工夫-多血質と憂鬱質、胆汁質と粘液質
【第6回】
 思春期の「自分」について-その精神形成の本質と「意志の力」(=持続力)の発達段階、および社会3層論
【第7回】
 思春期その1:社会における「理想の形成」について-ヘレン・ケラーとセリーヌ・ディオンの伝記から
【第8回】
 思春期その2:「親および家族からの独立」と「社会への旅立ち」について-友達は本当に得られるのか?
【第9回】
 思春期その3:「社会的矛盾との葛藤と実り」、「光と闇の調和」あるいは「無限」について-「自分」の確立、および歌姫セリーヌ・ディオンと葉加瀬太郎のヴァイオリン演奏の共演:“To Love You More”を聞きながら
【第10回】
 思春期その4:「自分と社会(=世界)との統一と調和」について-シュタイナーと宮沢賢治の光の中で
【第11回】
 「よだかの星」を読む(その1)-「見かけの醜さ」と「力の弱さ」について
【第12回】
 「よだかの星」を読む(その2)-思春期の悩みと家族との別れ
【第13回】
 「よだかの星」を読む(その3)-人との関係の中で、夢をあきらめないということ
【第14回】
 「よだかの星」を読む(その4)-社会の成り立ちと永遠の命について
【第15回】
 まとめと小テスト