Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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臨床心理実習 張田 真美
必修  2単位
【臨床心理学専攻】 17-1-1360-0437-11

1. 授業の概要(ねらい)

 修士2年次必修のこの授業では、各院生が実習を行っている心理臨床センター及び学外施設について、その体験を全員で話し合いながら深め、実際に心理臨床家として活動するための知識やスキル、倫理、リスク管理などを身に付ける。また、各実習施設で心理職がどのように他職種と連携し、またクライエントをアセスメントし、心理職として役割を担っているのかについてさまざまな観点から討論する。
 夏期期間には、心理臨床センターにおいて、子どもの知能検査(WISC-Ⅳ)を施行し、心理アセスメントの方法について実地で学び、保護者の子育ての支援のあり方について理解を深める。
 後期には、大学院修了後の心理臨床家としてのキャリア形成について検討する場も作る。大学院修了生をゲストスピーカーで招き、臨床心理士としてのキャリアをどのように作っていくかを具体的に学ぶ。

2.
授業の到達目標

 この授業を経て、実際に臨床現場で働くことが可能なレベルを目指す。心理臨床センターでのクライエント担当によって、面接及びマネジメントの実際を理解し、さまざまなクライエントのアセスメントまた支援方法について体得する。また心理臨床センターでの運営実習を通して、相談機関の運営の方法、受付などのマネジメント業務、他スタッフとのチーム構築など、実際に働く上において最低限必要なことを学ぶ。
 学外機関においては、支援のあり方の全体像を把握するとともに、心理職の役割やチーム連携のあり方について理解するとともに、そこから学んださまざまなことを表現できる。また支援における心理検査の位置づけや役割、実際の機能について、WISC-Ⅳを実施、解釈はもちろんのこと、実際の支援にどう生かしていけるかについて自分なりの意見を持つ。

3.
成績評価の方法および基準

 出席状況、参加態度、事例の発表方法などを総合的に評価し、クライエントに対応できるための必要な技能が習得されたかどうかで判断する。心理臨床センターにおける運営実習、および学外施設での実習も評価の対象とする。
 また、他院生の発表に対して、充分に傾聴しその内容を共感的に理解し、自らの心の中に生じたことを率直に表現し、また建設的な意見を見出していこうとする姿勢も重視される。

4.
教科書・参考書

 『面接法』熊倉伸宏 著 新興医学出版社(2002)
 『精神科における予診・初診・初期治療』笠原嘉 著 星和書店(2007)
 『新訂 方法としての面接』土居健郎 著 医学書院(1992)
 『WISC-Ⅳの臨床的利用と解釈』アウレリオ・ブリフィテラ、ドナルド・H・サクロフスキー、ローレンス・G・ワイス 著(上野一彦 監訳) 日本文化科学社(2012)

5.
準備学修の内容

 心理臨床センターでのクライエントとのかかわりについては、スーパビジョンを通して理解を深めておくとともに、学んだことを本授業内で語れるようにしておく。学外施設での実習で学んだ内容は、実習レポートとして体験をまとめ、その内容をいつでも本授業内で語り話し合えるようにしておくこと。
 発表日には資料を作成し、当日配布すること。
 WISC-Ⅳ実習の際には、十分事前に用具を用いて練習しておくこと

6.
その他履修上の注意事項

 修士1年次の「臨床心理基礎演習」の単位を修得したものが履修できる。自分のクライエントとのかかわりまた実習施設での体験を発表するために準備をするところから、まず、クライエントや施設の機能や役割に対する理解がより深まるであろう。クライエントとのかかわりや実習体験を発表することは、グループに対して自分を一部さらけ出す必要も生じる場合があり、痛みを伴うこともあるかもしれないが、よき臨床家となるためには必要なプロセスである。この授業に参加するものは、発表者が発表を行ったことで、臨床家として育っていくエネルギーが沸くような経験となるよう、よきファシリテーターとしてのあり方も考え体験を深めて欲しい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 前期オリエンテーション(発表日分担)
 ロールシャッハ・テスト実習(大学院1年生のデータをとる)の打ち合わせ
【第2回】
 ロールシャッハ・テスト実習
【第3回】
 各週2名の学生が、各自の臨床実習先での体験を報告し、グループスーパービジョンを受ける。
 心理臨床センターでのクライエント面接や運営実習について検討する
【第4回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第5回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第6回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第7回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第8回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第9回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第10回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第11回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第12回】
 子どもを対象とした、知能検査実習の説明
【第13回】
 WISC-Ⅳ実施のためのDVD視聴
【第14回】
 WISC-Ⅳ実施のための練習
【第15回】
 まとめ 対象児割り振り
【第16回】
 知能検査(WISC-Ⅳ)実習の結果報告 その①
【第17回】
 知能検査(WISC-Ⅳ)実習の結果報告 その②
【第18回】
 知能検査(WISC-Ⅳ)実習の結果報告 その③
【第19回】
 各週2名の学生が、各自の臨床実習先での体験を報告し、グループスーパービジョンを受ける。
 心理臨床センターでのクライエント面接や運営実習について検討する
【第20回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第21回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第22回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第23回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第24回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第25回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第26回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第27回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第28回】
 心理臨床センターケース検討、学外実習検討
【第29回】
 修了生(ゲストスピーカー)による「就職など、卒業後の生活について」
【第30回】
 まとめ