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授業の内容(Course Description) |
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月曜日と火曜日、それぞれ別内容の講義を行います。履修登録は月曜日・火曜日のどちらか片方しかできませんので、よく注意して興味のある講義を受講してください。 月曜日2限で扱う対象は、幕末・維新期から第2次世界大戦期までの「戦前日本資本主義」です。このうち秋学期では産業革命(重工業)以後について授業を行います。この時期の日本経済は、欧米先進資本主義の「外圧」に対抗して、政府の「近代化政策」のもとでめざましい資本主義的発展をとげました。しかしその反面、「富国強兵」のための急速な上からの資本主義化は、軍事工業偏重でありながら重工業に弱点を持つアンバランスな経済発展、官民の癒着構造、大経営と中小経営の間の二重構造などのさまざまな問題点を生み出し、最終的には日本社会をアジア太平洋戦争へと導く結果となりました。したがって講義のポイントは、近代日本の急速な経済成長を可能とさせた内外の条件を探りながら、同時に、その条件が日本の近代社会の展開をどのように制約したかを考えることにあります。それは決して「過去」の問題ではありません。ここで取り上げる諸論点は形を変えて必ず戦後の日本経済にも投影されているはずです。受講者諸君が現在、君たちがその中にある現代日本経済の実情と問題点を頭におきながら「歴史」に耳を傾けてくれることを望んでいます。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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第一次世界大戦後の重化学工業の本格的構築段階に、20世紀初頭に「確立」した日本資本主義の諸矛盾がどのように展開するかを考える。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末試験の成績による。小テスト等、成績評価に反映する出席調査は一切行わない。ただし「授業を聴きに来てくれた人にいい成績をつける」のが成績に関する私の基本方針であるから、学期末試験問題は授業を聴きにきてくれた回数に応じて得点できるように工夫されている。また、私もプロの教員であるから、わざわざ出席調査などしなくても試験の答案を見ればその受講者が授業を聴いてくれたか否かを判別できるという自負を持っている。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:『日本経済史』(第2版)石井寛治 東京大学出版会
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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毎回サブノート形式のプリントを配布し、授業はプリントに沿って進めてゆく。講義を聴きながらプリントの空白部分=重要項目を埋めてゆけば自然にわかりやすいノートが完成するようになっている。ただし配布プリントには「項目」と「データ」しか印刷されていないので、授業を聴かない限り、プリントだけを持っていても無意味なので注意すること。 「日本の近代史はこんなにおもしろいよ!」ということをできるだけたくさんの人にわかってもらいたい、そのために多くの人に「聴きにきて」ほしい、というのが私の偽らざるホンネである。当然のことではあるが、私は君たちに興味を持って「聴いてもらえる」ような講義ができるように努力するつもりなので、君たちも私が講義に行くのが楽しみになるようにうまく私を乗せてほしい、と思う。大学の講義は教師と学生が協力して作り上げてゆくものだ、というのが私の信条である。それを君たちにも実感してもらいたいと思う。なお、秋学期からの新規受講者への配慮もするが、授業内容の理解は、春学期からの継続履修者が有利であることは論を待たない。日本の歴史に興味を持つ他学部学生のオープン・カリキュラムでの受講を歓迎する。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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春学期からの継続履修者を主たる対象とするため、項目は春学期からの続き番号になっています。 【第1回】 3 産業革命 2 日本産業革命の諸相③ 絹業(1) 【第2回】 日本産業革命の諸相④ 絹業(2) 【第3回】 日本産業革命の諸相⑤ 重工業(1) 【第4回】 日本産業革命の諸相⑥ 重工業(2) 【第5回】 3 確立期日本資本主義の構造的特質① 資本の諸類型 【第6回】 確立期日本資本主義の構造的特質② 日本資本主義と地主制 【第7回】 4 独占資本主義の形成 1 第1次世界大戦と日本資本主義 【第8回】 2 1920年代の日本資本主義① 戦後恐慌と金融恐慌 【第9回】 1920年代の日本資本主義② 重工業化の進展 【第10回】 3 昭和恐慌と日本資本主義の構造変化① 「金解禁」と昭和恐慌 【第11回】 昭和恐慌と日本資本主義の構造変化② 「産業合理化」と日本資本主義の構造変化 【第12回】 5 15年戦争と日本帝国主義の崩壊 1 2つの外交路線 2 「満蒙特殊権益」~日本帝国主義と「満州」問題 【第13回】 3 戦争経済とその崩壊① 統制経済の進展 【第14回】 戦争経済とその崩壊② 戦時経済の実態とその崩壊 【第15回】 まとめと質問
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