Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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日本文化論講読 II 濱田  陽
選択  2単位
【日本文化】 09-1-1310-0430-12

1. 授業の内容(Course Description)
 【『死線を越えて』を読む・続】
 秋期は、主人公・新見英一が結核による死線をさまよった後、いよいよ神戸のスラムに入ってゆき、さまざまな出会いと経験をしていくシーンを扱う。
 合わせて与謝野晶子が心を動かされた賀川の詩集『涙の二等分』、黒木瞳主演の映画『死線を越えて』、貧困・性・教育の思想書なども紹介していく。

 大正時代最大のベストセラー『死線を越えて』(累計400万部)で知られる賀川 豊彦(1888−1960)は、貧民救済、労働組合運動、関東大震災救援、農民組合運動、生活協同組合運動、平和運動などに取組んだ社会事業家・小説家・詩人。近代資本主義下におこる貧困、戦争、環境破壊などの諸矛盾を、助け合いの社会システム構築により乗り越えようとし、ノーベル平和賞候補に挙げられた。
 金融危機や貧困が再び大きな社会問題として浮上している今日、『死線を越えて』を含め賀川の著作を読むことは、日本近代史の光と陰を描き出し、現代社会を再考する上で貴重な示唆を与えるだろう。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 賀川豊彦の著作の読解を通じ、戦前と戦後の日本社会・日本文化の課題を比較考察する視座を養う。また、授業内で学んだ内容をふまえながら、自らが独自に考えた感想を交え、1000字以上の考察をまとめる力を身につける。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席(55%)、期末試験(45%)を目安とする。期末試験のテーマは試験の2~3週間前に発表する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト *毎回の授業と期末試験で用いるため必ず購入のこと
 『死線を越えて』鳴門市賀川豊彦記念館、2003.1500円

 その他、必要な資料は配布する。
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 きちんと出席し、ノートを取りながら授業に集中して理解を積み重ねていくことが、期末試験のために必要である。 秋期はテキスト239頁から進む予定。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】・【第2回】
 春期の復習・秋期計画の紹介
【第3回】・【第4回】
 『死線を越えて』と詩集『涙の二等分』
  映画『死線を越えて』(黒木瞳主演)
【第5回】・【第6回】
 『死線を越えて』とスラム研究『貧民心理の研究』
【第7回】・【第8回】
 『死線を越えて』と性
【第9回】・【第10回】
 『死線を越えて』と教育書『魂の彫刻』
【第11回】 ~【第13回】
 『死線を越えて』その後
【第14回】・【第15回】
 「期末試験」「期末試験答案返却・全体講評」
 *以上の順序は入れ替わることがある。また、社会状況、国際情勢の変化に応じて、新しいトピックを加える。