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授業の内容(Course Description) |
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報道がカバーする範囲は、政治・経済・社会・国際分野で起きた事件だけでなく、多くの人が関心の持つあらゆるテーマに及ぶ。したがって、情報の受け手は連日のように膨大な規模の情報量を浴びることになり、その全てを処理することは不可能だ。新聞、テレビなどマス・メディアに接したとき、ほとんどの情報は頭の中を通り過ぎて何も残らないのが普通だ。 しかし、中には長く記憶にとどめ、背景にはどのようなことがあるのか、今後の見通しなど考えざるを得ないものもある。深く、詳しく内容を知る必要があるものも出てくる。また、マス・メディアの報道姿勢、報道内容を批判的に見なければならない場面も出てくるだろう。 授業ではこうした報道の受け止め方や主要テーマの予備知識について、実際の時事問題を取り上げながら考えていく。たとえば、経済分野では米国のサブプライム問題に端を発した国際的金融動乱、世界同時不況が新局面に入った時などをとらえ問題の背景や見通しを解説する。また、自動車など主要産業動向、雇用問題、景気見通し、米国のオバマ大統領の経済政策など折を見て授業のテーマとする。政治では今年の総選挙を軸にした政局、国際政治問題など。とくに、米国、イラク、イラン、イスラエル、パレスチナ、アフガン情勢、それに中国からは目が離せない。 また、裁判員制度、年金問題、環境問題など関心の強いテーマも取り上げていきたい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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報道が取り上げるテーマの多くは、社会生活を送る上で知っておかなければならないものだ。テーマの背景にあるものは何か、経緯はどうなっているのか、問題点は何か、今後はどのように進展するのか等々、知識を持っておくことが有益であるのは言うまでもない。重要テーマについて一応の知識を身につけ、分析を行う習慣をつけることを授業の目標とする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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評価を出席点、平常点、試験点の合計とし、それぞれの比率は全体を100として、出席点20、平常点20、試験点60とする。出席点の場合、4回以上の欠席は不可となるので注意が必要。平常点は通常の授業態度。試験は期末に論述、記述の形で実施する。試験問題は授業時に配布するプリント、板書から出題する。期末試験の欠席者は0点の評価になる。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストはとくに使わず、授業にプリントを配布する。参考文献は必要なものを授業の中で伝える。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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新聞を読んだり、テレビの報道特集を見るくせをつけるようにして欲しい。常日ごろ新聞やテレビの報道に接することで主要テーマの背景などを自然に分かってくるものだ。また、関連する書籍などを読むことで更に深く、広く知識を身に付けるよう心がけてもらいたい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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2009年度の焦点の1つは、世界不況からの脱出口が見えるかどうかだ。08年に起きた米国発の金融動乱は、世界中の金融証券市場を麻痺させ、実体経済を世界同時不況に落とし込んだ。日米欧州の経済は軒並み大幅な減速経済を余儀なくされ、急成長を続けてきた中国などの新興国経済も急ブレーキが掛かった。世界経済はデフレに怯え、各国は深刻な雇用不安に陥っている。 混乱防止で国際協調の足並みをそろえた各国は、次にどのような有効な対策を打ち出せるのか、崩壊した米国型金融システムは、どのように転換するのか、資本主義経済システムを守るには政府の役割はどうあるべきなのか。解決しなければならない課題は多い。米国の再生を誓って登場したオバマ大統領が打ち出す政策と共に、それぞれの課題動向からは目が離せない。 授業ではその時々の動きに合わせ「報道の受け止め方」としてテーマとしたい。09年度の報道の焦点はこれだけではない。中国では景気の減速と時をあわせたかのように、1党支配に反発するデモや主張が目に付くようになった。一時的な反政府運動なのか注目しなければならない。また、指導者の交代が近づく北朝鮮が北東アジア情勢の安定を脅かす存在になるのかどうかもテーマになる。 アフガン情勢の行方は日本の国際貢献問題もからみ大きな関心事になる。米国は各国に協調を呼びかけており、日本も正面に据えて考えなければならない課題になる。また、小康状態になってはしばらくして火を噴くパレスチナ、イスラエル問題も注意して見なければならない。イスラム文明について、われわれはもっと正確に理解しなければならないだろう。 国内では総選挙と政局動向がある。かりに政権交代などが起きれば、授業の大きなテーマになる。当然、景気問題や雇用問題、環境問題などはテーマになる重要事項だ。 授業ではこうしたその時々の大きなテーマを教材として取り上げる。したがって、15回の授業はあらかじめ内容を固定せず、テーマの動き次第で決めていきたい。
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