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授業の内容(Course Description) |
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文章の書き方といえば、文学的な名文・名作を書く方法のように考えることが一般的な考え方であるであろうが、私自身は特に文学的な素養の持ち合わせはないし、そのような名文・名作の書き方を講義する能力もない。しかし、私も過去においてはいくつかの著作や論文を書いた経験はある。その際に注意を払ってきたことは、理路整然とした構成をたてて、その下でわかりやすい文章を書き、読む人に私の伝えたい内容を理解してもらえるように努めることであった。ゼミのレジュメ、レポート、実用文、小論文、卒業論文、本格的な研究論文など、様々な文や論文を書く機会には在学中においても、また、社会に出てからも出会うことであろうと思われる。よい文やレポート、論文とはまず何よりもその内容が優れていることである。しかし、優れた内容のレポートや論文が書けるということは基本的には書き手の勉強や研究の成果である。文章表現という講義によってできることは、資料や文献の探し方や、いかにして理路整然とした構成の下でわかりやすい文章を書くかという方法や手順を考えることである。従って、この講義においては、レポート、小論文、論文の構成の組み立て方と文章の書き方について、先人の知識や教えに私自身の経験を交えて話してみることにしたい。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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日頃からできるだけ様々な文章を書く機会を進んでもってもらいたいが、この講義がその際の一助になることを希望している。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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出席点によって評価するが、時に応じて適当な課題文の記述を求めることがあり、それも成績の評価において参考にする。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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講義はプリントを用いて行なう。論文等の書き方については多くの文献があるが、機会をみて講義プリントの中で適宜紹介していくことにする。
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5. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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文章がうまくなる方法は文章を書くことである。さらに文章を書くことは頭を整理したり、考えをまとめることにも役立つので、文章を書くという習慣をつけるように普段から努力することを希望する。成績は出席点が中心になることを改めて記しておく。
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6. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 講義の目的と概要。執筆の準備作業から執筆までの手順の概要。まず、最初の手順は主題或いはテーマの決定である。 【第2回】 資料の収集と整理(1)。テーマが決まると、それに関連のある資料、文献、情報の収集が必要になる。資料収集のための様々な情報源について考える。 【第3回】 資料の収集と整理(2)。得られた情報や知識の整理の方法や利用するべき情報や知識の抽出と引用の方法を考える。 【第4回】 テーマに応じた表題のつけ方を考える。 【第5回】 レポート、小論文、論文の大まかな基本構成を考える。例えば、3段階、4段階、5段階形式などが考えられ、そのような構成形式の特質を考える。 【第6回】 起承転結論について。文や論文の基本構成として取り上げられる形式として「起承転結」といわれるものがある。このような形式には賛否両論があり、改めてそのような形式の意義を考える。 【第7回】 新聞のコラムや社説などの具体的なものを例にして比較的短い論文(小論文)の構成について考える。 【第8回】 前回に続いて、実際の文例を用いて短い論文や課題文などの構成について考える。 【第9回】 卒業論文、修士論文、博士論文、本格的な研究論文のような相対的に長文の論文の構成方法について考える。このような長文の論文は「章」、「節」、「小節」などの記述構成の形式についても考える必要がある。 【第10回】 前回に続いて、相対的に長文の論文の記述構成の形式のあり方を考える。 【第11回】 報告書、提案書、企画書のような実用文の書き方の基本について考える。 【第12回】 実際に文章を書く上でのいくつかの基本的なルールについて考える。まず、句読点の付け方、その他の様々な執筆記号の使用上のルールについて述べる。 【第13回】 原稿用紙に実際に文章を書く場合の書き方や数字、外来語等の表記のルールについて述べる。 【第14回】 具体的な卒業論文執筆の事例を用いて、卒業論文或いはそれに準ずるような論文を書く際の心得について考える。 【第15回】 一応この箇所に記しておくが、15回の講義のうち、適当な課題文を書いてもらうような時間を適宜設けたいと考えている。
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