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授業の内容(Course Description) |
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「法思想史」の課題は二つにわけられます。一つは、法規範や、権利や、義務といった基本的な法概念の歴史を辿ることによって法体系を理論的に分析し、法の諸問題の解明に寄与することです。他の一つは、現代の法体系を支えている正義や衡平などの基本的観念の歴史を尋ねて現代法の基本的性格や歴史的位置を明らかにすることにより、現代法が当面する諸問題、たとえば公害や医療過誤、戦争などの問題に対する新たな法的アプローチの仕方を提示することです。こういうと、大変難しそうですが、わたしの講義は、皆さんが法律学を学ぶ際に知っておかなければならない基本的な法思想の知識を学んでいただくこと、皆さんが解説文を読んだだけで思想を知った気にならないように、直接原作品に接することを主眼として、教科書の記述を補足する形で行います。法思想史Bは、近世および近代のイギリスとフランスの法思想から始まり、現代の正義論までを対象とする予定です。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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近代の国家と法に関する古典的な思想を理解していただくことを目標とします。ホッブズ、ロック、モンテスキュー、ルソーなど、高等学校の教科書でもおなじみの思想家たちが、国家や法についてどのような考えをもっていたのか。それを理解していただくように努めたいと思います。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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秋期に2回程度の小テストを行い、小テストの成績と出席点で評価します。期末試験は行いません。 なお、出席回数が10回未満の者は単位の取得ができませんので、ご注意ください。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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教科書として、田中成明・竹下賢他著『法思想史』第二版、有斐閣Sシリーズ、定価1,800円、を使用します。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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必要に応じてテキストを朗読していただきますので、しっかり予習してきてください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 近世自然法論の到達点(プーフェンドルフ) 【第2回】 近世イギリスの法思想・その一(ホッブスの法思想) 【第3回】 近世イギリスの法思想・その二(ロックの法思想) 【第4回】 近世イギリスの法思想・その三(ヒュームとアダム・スミスの法思想) 【第5回】 モンテスキューの法思想 【第6回】 ルソーの法思想 【第7回】 功利主義の法思想・その一(ベッカリーア) 【第8回】 功利主義の法思想・その二(ベンサム) 【第9回】 実証主義の法思想(オースティン) 【第10回】 進化論と法思想(歴史法学の始まり) 【第11回】 ドイツ歴史法学 【第12回】 概念法学と自由法運動 【第13回】 法社会学の始まり 【第14回】 アメリカの法思想(プラグマティズムと法) 【第15回】 現代の正義論
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