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授業の内容(Course Description) |
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行動規範論Ⅱでは、現代社会のさまざまな問題を倫理学的な観点から検討していくことにします。講義の前半では、現代の先進的な医療が私たちに投げかけてくるさまざまな問題(延命治療、安楽死、生殖技術 etc.)を扱い、私たちが自己の生や死、生まれくる子供や家族のあり方に対して、今後どのように向きあっていけばよいのか、ということについて考えていきたいと思います。講義の後半は、主に現在の社会制度に関わる問題を考察し、社会の公正なあり方とはどのようなものか、ということについて考察したいと思います。(授業の内容と順序は、若干変更することがあります。)
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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・現代社会を取り巻くさまざまな倫理的問題を認識し、それらについて多様な立場が存在することを理解する。 ・自己とは異なる意見についても、その主張を論理的に理解したり、背景にある心情を想像することができる。 ・一つの問題に対する多様な立場を理解した上で、自己自身の判断を形成し、それを論理的に表現することができる。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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2、3回に1回ほどの割合で、授業の内容についての各自の見解を書いてもらい、それを平常点とする。その平常点と講義の最後に課すレポートによって総合的に評価する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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教科書:なし 参考文献:講義中に適宜指示する。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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大学は自ら主体的に学ぶ場です。さまざまな物事について興味や問題意識をもち、関連する資料を収集して深く考え、自分なりの物の見方や考え方を確立できるように努めてください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 講義の概要 【第2回】 自由と自己決定権 ― 「自分のことは自分で決定する」という意味での自己決定権の意味と、その根拠について考察する。 【第3回】 尊厳死の問題 ― 尊厳死と、その背景にある「死の自己決定権」の意味について考える。 【第4回】 安楽死の問題 ― 安楽死の現状、および安楽死の背後にある「死の自己決定権(死ぬ権利)」の意味について考える。(VTRを使用) 【第5回】 人工妊娠中絶の問題 ― アメリカの中絶論争に即しながら、女性の中絶する権利と胎児の生命の価値との関係について考える。 【第6回】 生命の神聖さについて ― ドゥオーキンの『ライフズ・ドミニオン』に即しながら、「生命の神聖さ」の意味について考える。 【第7回】 障害と選択的中絶の問題 ― 胎児の障害を理由とした選択的中絶の問題を通して、生殖における自己決定権(生殖の自律)と「障害」に対する社会の価値観の問題について考える。(VTRを使用) 【第8回】 生殖技術の問題 ― 人工授精や体外受精といった現代の先進的な医療技術が、生殖の意味や家族の伝統的な観念にどのような影響を与えるかについて考える。(VTRを使用) 【第9回】 代理母出産の問題 ― 代理母出産の現状と、それがもたらした倫理的な問題について考える。(VTRを使用) 【第10回】 自由と平等 市場における自由競争の問題に即しながら、自由と平等との関係について考察する。 【第11回】 海外援助の問題 ― 海外の貧しい人々を援助する義務や責任は、どの程度あるのか? 【第12回】 死刑制度の問題 (1) 死刑制度の是非について、さまざまな立場から検討する。 【第13回】 死刑制度の問題 (2) 死刑制度の是非について、さまざまな立場から検討する。 【第14回】 戦争と正義 (1) 正しい戦争は存在するか? 存在するとすれば、それはどのような基準によって区別できるか? 【第15回】 戦争と正義 (2) 戦争において、許される行為と許されない行為の区別は存在するか?
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