Web Syllabus(講義概要)

平成21年度

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スポーツ方法実習(野外活動) 倉品 康夫
選択  1単位
【自己啓発】 09-1-1500-1734-03A

1. 授業の内容(Course Description)
 生涯学習時代のキャンプの活動方法について専門的な野外生活・活動の理論を研修し、将来生涯スポーツとしての野外活動実践者として、また、指導者として必要な知識・技術について体験を通じて学ぶべく以下の目的と内容で実習を行います。
  ・創造的な余暇時間である良質な野外活動体験、『キャンプを心から楽しむ』ことを通じて、その楽しみを伝える、指導する方法について学習する。
  ・野外活動の企画運営のプロセスを通じてマネジメントについて学習する。
 その学習のプロセスを通して単位取得者は、社団法人日本キャンプ協会の「キャンプインストラクターの資格を取得することが可能です。(費用別途、全回出席取得条件)
 また、生涯スポーツの観点から、女性も男性も互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を発揮できるプログラムとします。 
 さらに、防災の基本的な考え方、自助的な努力としてのサバイバルを伝えるとともに、今後どのような取り組みが必要か考えます。
 《対象学生》アウトドア(以下OD)に興味がある、 遊びの発達課題を補償したい(遊び不足)、ODが好き、OD活動の幅を広げたい、野外教育に興味がある、自分のライフスタイルを売る職業(サービス業等)を志す、CAMP好き、登山好き等の学生。 また、公務員(警察、消防)を希望する学生もリスクマネジメントについて学べるチャンスと考えます。※定員は40名とします。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 「スポーツ振興基本計画」(2000年)における「国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現」するために、当実技では「子どもから大人まで生涯にわたって『いつでも・どこでも・いつまでも』できる野外活動実現によって、幸せで豊かな、質の高い生涯スポーツ社会実現及び「自分流」の生涯スポーツデザイン」について考究する。その過程から「知識・理論・技術の獲得のみならず、それらを創造的に、有機的に活用し、グローバルな大競争社会の中で逞しくかつ正しく生き抜く力、即ち強い人間力を併せ持つ人材」を育成することを目的とします。
 以下のキャンプ指導の担い手として原点となる良質なキャンプを積極的な体験から以下の目標を達成するものとします。
 《達成目標1》
 生涯スポーツとしての野外活動(キャンプ)に関する基礎的且つ幅広い知識と教養を身に付け、変化するライフステージにおいて、持続的にオリジナルな「自分流」の野外活動(キャンプ)を追求する能動的な姿勢を身につける。
 《達成目標2》
 「持続可能な発展 」Sustainable Development)における個人の「持続可能な生涯発達」 Sustainable Life-span Development (持続性を意識した身体機能の維持・向上の仕方や自然に即した身体感覚、身体技法、身体運動)という概念について理解を深め、さらに心の豊かさを実現する野外活動の在り方《環境当事者意識、社会的・経済的・スポーツ環境配慮行動選択》について検討することができる。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 S(100点~)→D(59点以下)の評価を成績評価基準によって評定する。
 出席50点(欠席−5、遅刻早退−2:単位認定26点以上、実習参加必須条件)
 テスト・レポート20点
 レポートについて:テーマ「健康に野外活動を楽しむための生涯計画」。参考図書、言及する項目は教場で指示する。
 プロセスに対する評価
 参与観察等の手法による野外スポーツ方法習得のプロセスに対する評価30点
 以上の評価項目を以下の観点で、総合的に評価する。
 評価の観点:
(ア)チャレンジのプロセス、関心・意欲・態度
(イ)自由に主体的に野外生活を楽しむ能力
(ウ)余暇享受能力、今後の生涯スポーツへの抱負、レジャーリテラシー(読書、記録)
 各観点の「重み」は未定。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『キャンプ指導者入門』社団法人日本キャンプ協会 2006年、2,000円(税込)
 文献・参考図書
  A. 鴨長明『方丈記』岩波文庫、1989
  B. ソーロー『森の生活(上)』『森の生活(下)』岩波文庫、1995
  C. 新田次郎『聖職の碑』新潮文庫、1980
  D. 野田知祐『日本の川を旅する』新潮文庫、1988
  E. トム・マクナブ『遥かなるセントラルパーク』文春文庫、1986
  F. 植村直巳『青春を山に賭けて』文春文庫、1977
  G. レヴィ・ストロース『悲しき熱帯』中央公論社、1977
  H. 真木悠介『気流の鳴る音―交響するコミューン』ちくま学芸文庫、2003
  I. ライアル・ワトソン『アースワークス』ちくま文庫、1989
  J. 椎名誠『岳物語』集英社文庫、1989
  K. 佐々淳行『危機管理のノウハウ』PHP文庫、1984
  L. 国分康孝『チームワークの心理学』講談社現代新書、1985
  M. 有吉与志恵『コアトレ』ベースボールマガジン社、2006
  N. エーリッヒ・ケストナー『私がこどもだったころ』岩波書店、1962
  O. カルロス・カスタネダ、 『呪術師と私―ドン・ファンの教え』二見書房、1992
  P. J. アドラー、『本を読む本』講談社、1997
  Q. 松永 市郎、『先任将校』光人社、 2002
  R. 倉品康夫「野外活動百冊の本」『月刊 社会教育』、国土社、458号48~59頁、1994
 《担当講師について》一文卒(74.4~80.9)、中学校教諭、日体大及び筑波大修士、筑波大、関東学院大等講師、日体大助手及び講師
 《関連URL:直近の野外活動実技等に関する学会発表.》
 日本体育学会第59回大会08年9月「体育哲学: 生涯スポーツのためにインスパイアされやすい体を作るということ」https://entry2.jtb.ne.jp/mel/web/jspehss59/pdf/tetugaku-0904.pdf
 野外教育学会第11回大会08年6月「方丈記の野外教育的意義」

 日本体育学会東京支部第35回学会大会08年3月「読書による自然体験の言語化促進」
 idaten.c.u-tokyo.ac.jp/tokyo/kaihou/kaihou_pdf/2007_no3.pdf -
 日本スポーツ産業学会第16回大会2007「野外生活の質向上及び生涯スポーツ実践に貢献する成熟したキャンプ用具・用品」www.spo-sun.gr.jp/html/about/gakkai_news/about.html
 日本体育学会東京支部第34回学会大会2007「生涯スポーツとしての野外活動実技―大学生時代における野外活動体験群と対照群の比較研究の検証―」※一部改変後、『東京体育学研究 2008 年度報告』論文掲載
 idaten.c.u-tokyo.ac.jp/tokyo/kaihou/kaihou_pdf/2006_no3.pdf-
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 《実習費について》
 学生の負担を少なくするために、大学内の施設、大学周辺の自然資源を活用して行うこととしますが、費用負担(8,000円予定)が生じます。
 ※ 費用に含まれるもの
  キャンプ場及び施設利用料、実習時の食事、保険代、貸与装備類レンタル代
 ※ 費用に含まれないもの 自宅-実習場所間等の交通費
 ・自分で計画をコンセプトから作ることで、初めて方法が身につくと考えますので、班に分かれてプロジェクトとして学習します。その際、班で下見実地踏査を行う場合があります。
 その他の費用:
 社団法人日本キャンプ協会の「キャンプインストラクター」の資格を取得する学生は単位取得が前提ですが、別途以下の登録諸費用15,000円がかかります。
 内訳@受験料1,000円 公認料4,000円 登録料1,000円 キャンプ協会入会金2,000円
    キャンプ協会年会費5,000円 事務手数料2,000円
 ※ 納入方法:経理Gに費用納入後、領収書を6月の事前授業で提示してください。
 ※ 実習のみの学生は8,000円、資格認定も希望する学生は総額23,000円となります。
 《装備について》
 必要最低限の装備、服装について事前授業で説明します。基本的で日常生活でも汎用性の高い装備、例えば普段のザック、UNC社製の千円のフリース上下等の利用を推奨します。最低限、濡れても暖かいアンダーウェア、蒸れない雨具等への投資は必要です。登山用品店処分セール、アメ横の放出品を当たる等、忙中、安価で高パフォーマンスな装備を調達するか享受能力が問われます。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
 【基礎授業】を6月20日土曜日09:00~14:30で実施予定。(集合する教室及び開催日時の変更等は掲示板等で連絡するので確認してください)。運動ができる服装でお願いします。
 実習の本行は春期定期試験終了後~春期追試験の間の夏休み、8月中旬に実習を予定。
 お盆の期間に東京に住人が居ない空いている時期に実施します。
 《スポーツ方法実習帝京大学キャンプ指導者養成講習プログラム概要》
 野外活動を学内外集中実技4日の日程で履修者40名程度の実習規模を持って下記の日程で実施する.
 A.《指導実習のための指導担当班》
 上記の指導実習のために指導担当班に分けて講師のスーパーバイズを受けつつ、全員が次の班に所属する。(登山指導班、ロジスティックス担当班、オリエンテェーリング(OL)指導班、キャンプクラフト指導班)
 1登山指導班
 高尾山登山の実施計画、 指導計画の作成、実地踏査、スクマネジメント、 昼食の手配
 2ロジスティックス担当班
 野外生活体験の実施計画、 指導計画の作成、実地踏査・野外生活体験事前体験、リスクマネジメント、食料の手配
 3オリエンテェーリング(OL)指導班
 OL の実施計画、 指導計画の作成、実地踏査(大学構内)、地図の作成、リスクマネジメント、水の手配
 4キャンプクラフト指導班
 キャンプファイアーの実施計画、指導計画の作成、実施プログラムの作成、MCの練習、リスクマネジメント、必要機材等購
 《各班の構成》
 世話人(まとめ)、書記(記録等作成)、発表者(プレゼン担当)、会計(予算・決算報告)、連絡係(共有事項の徹底) 、その他(必要に応じて設定)
 B.カリキュラムの構成
 講義―10時間
 「キャンプの特性」2時間:キャンプの目的と意義、生涯キャンプの指導について、 キャンプの組織と種類、キャンプのルールとマナー
 「キャンプの指導」3時間
  その1:キャンプインストラクターの役割
  その2:指導者のためのコミニュケーションスキル
  その3:キャンプにおけるカウンセリング、キャンパーの参与観察方法、参与観察とリスク予防介入の判断
 「キャンプの対象」3時間
 その1:人間と自然、人間理解、自然の理解
 その2:人間理解、自然の理解
 「キャンプの安全」2時間
 事故事例検討及びリスクマネジメント等
 実技−26時間
 「キャンプの安全」3時間
 その1:安全管理の実際、リスクマネジメント、フィールド調査(現地踏査)について、危険予知とその対処(1h)
 その2:各指導班実施踏査におけるファーストエイドの実際(1h)
 その3:三角巾の講習及びリスクマネジメントのロールプレイ(1h)
 「さまざまなアクティビティ」18時間
 『各指導班実施踏査』(5h)
 『アイスブレイク』(2h)
 『学内OL』 (3h)
 『高尾山登山』(6h)
 『キャンプファイアー』(2h)
 「キャンプの生活技術」5時間
 ロープワーク、天気予報、観天望気(1h)
 『野外炊事』(4h)
 『試験』理論及び実技(ロープワーク等)
C.プログラム実施内容とカリキュラムの構成
 1【基礎授業】
 と き:6月20日(土)
 ところ:帝京大学(教室及びアリーナ)
 講義(2h)「キャンプの特性」
 :キャンプの目的と意義、生涯キャンプの指導について、 キャンプの組織と種類、キャンプのルールとマナー
 講義(1h)「キャンプの指導」その1
 :キャンプインストラクターの役割
 実技(1h)「キャンプの安全」
 :安全管理の実際、リスクマネジメント、フィールド調査(現地踏査)について、危険予知とその対処
 2【指導実習(準備日程)】
 2.1登山指導班実地踏査
 と き:8月初旬
 ところ:高尾山(八王子市)
 実技(6h)「さまざまなアクティビティ」〈5h〉及び「キャンプの安全・ファーストエイドの実際」〈1h〉:登山
 2.2ロジスティックス担当班及びクラフト指導班 指導法確認 
 と き:8月初旬
 ところ:黒川青少年野外活動センター(川崎市麻生区)
 実技(6h)「さまざまなアクティビティ」〈5h〉及び「キャンプの安全・ファーストエイドの実際」〈1h〉:生活技術
 2.3オリエンテェーリング(OL)指導班
 と き:8月初旬
 ところ:大学構内
 前日準備学内オリエンテェーリング(OL)班コース設定等、アイスブレイク指導練習
 実技本部設置、装備チェック、事務用品、救急箱、冷蔵庫等確認
 実技(6h)「さまざまなアクティビティ」〈5h〉及び「キャンプの安全・ファーストエイドの実際」〈1h〉:オリエンテーリング
 3【実習本行日程】
 3.1 一日目大学集合 
 実技(1h)実技(3h)「さまざまなアクティビティ」:『アイスブレイク』
 指導:OL指導班
 講義(1h)「キャンプの対象」その1
 :人間と自然、人間理解、自然の理解
 講義(2h)「キャンプの安全」事故事例検討及びリスクマネジメント
 実技(1h)「キャンプの安全」三角巾の講習及びリスクマネジメントのロールプレイ
 実技(3h)「さまざまなアクティビティ」:『学内OL』
 指導:OL班
 ふりかえり
 3.2 二日目(月)京王高尾山口集合 
『高尾山ハイキング』
 実技(6h)「さまざまなアクティビティ」:登山
 実技(1h)「キャンプの生活技術」:ロープワーク、天気予報、観天望気
 指導:登山指導班
 3.3 三日目黒川野外活動施設
 『野外炊事』
 実技(4h)「キャンプの生活技術」:テント設営、野外炊事、工具及び道具使用法
 指導:ロジスティックス担当班
 『キャンプファイアー』
 実技(2h)「さまざまなアクティビティ」:キャンプファイアー
 指導:キャンプクラフト指導班
 講義(1h):「キャンプの指導」その2:指導者のためのコミニュケーションスキル
 3.4 四日目(水)大学教室集合
 講義(2h)「キャンプの対象」その2
 :人間理解、自然の理解
 講義(1h)「キャンプの指導」その3
 :キャンプにおけるカウンセリング,キャンパーの参与観察方法,参与観察とリスク予防介入の判断
 『試験』
 ふりかえり
D.各指導担当班の指導実習の流れ
 1.準備段階
  ① 指導目的の確認
  ② 達成目標の設定(○○することができる)
  ③ 実地踏査,予行演習等
  ④ 達成目標からキャンパー対象の自信度チェック表(Confidence Check)の作成
  ⑤ 必要な用具用品の準備
  ⑥ 指導内容の検討
  ⑦ 指導方法の演習
  ⑧ 指導案の作成
 2.実施段階
  ① キャンパーによるプレ(事前)の自信度チェック表の記入
  ② 指導
  ③ キャンパーによるポスト(事後)の自信度チェック表の記入
 3.実施後の処理
  ① プレとポストの自信度の変化の検討
  ② 指導目標の達成度の評価
  ③ 今後の指導方法の検討
 4.記録の作成
  ① 実践記録の作成
  ② 内容(準備,指導の実際,キャンパーの変容)
  ③ 実践のキャンプ研究への投稿
※活動は「計画」通りに実行するために行なわれるのではなく、 予期せぬ事態は学習の機会ととらえ、テーマ実現のために天候等に臨機応変に対応し、また、環境保全及び地域社会に配慮して行われる。