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授業の内容(Course Description) |
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経済学概論 I で基本的経済活動の実態を学んだので、概論IIではそれら基本的経済学上の事象が、どのように研究され、理解されてきたか、先人の思索の跡を追い、個々の経済活動について、理論的理解を深めることとする。特に重商主義から、産業革命を経て資本主義が成立、一方資本主義の発展が社会主義の成立を促す、そのあとをたどりつつ、歴史の中に現れる主要な経済社会思想を紹介する。また、相互の緊張関係のなかで、それぞれがどのように影響しあい進化していったかを学ぶ。そして共産主義経済の崩壊によって、ライバルを失った今日の資本主義の問題とその行方について、今日行われている議論にも触れつつ、今後の経済社会の展望を得ることとする。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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経済学部の学生として知っておくべき経済思想の成立プロセスを学び、経済学的思考法を身につけ、現在起こっている経済活動に対し、自分なりの意見を持てるようになることを目標とする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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期末テスト(記述式)60%、出席点(適宜、授業中にミニテストを行う)40%。なお、出席率3分の1以下の者は成績評価しない。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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参考書:『現代経済学の巨人達』(日経ビジネス文庫)、『経済思想』(八木紀一郎、日経文庫)、『経済学の歴史』(ガルブレイス、ダイヤモンド社)、『ユートピア』(トマスモア、岩波文庫)、『アダムスミス』(岩波新書)、『ケインズ』(岩波新書)、『シュンペーター』(岩波新書)、『資本論の世界』(内田義彦、岩波新書)、『歴史としての社会主義』(和田春樹、岩波新書)など
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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過去、先人が経済活動の原理について何に関心をもち、それをどのように理解しようとしてきたか、その知的活動の歴史を知ってほしい。又、今日の資本主義のかかえている問題をそうした歴史的流れの中で捕らえなおし、今後、どのような経済社会が望ましいかを考えて欲しい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 「イントロダクション」: 何を学ぶか?経済学がこれまで関心を持ってきたこと、それに対する先人の思索、今日の経済学の大きなテーマはなにか?市場主義経済の今後をどう考えるかなど、経済思想のこれまでの大きな流れを理解する。 【第2回】 「大航海時代から重商主義へ」: 大航海時代によるヨーロッパ経済体制の変化と重商主義の台頭。スペイン、ポルトガルからオランダ、イギリスの時代へ。重商主義の変質。重商主義の概念とその今日的意味を戦後日本の経済政策と比較して考える。 【第3回】 「産業革命とアダムスミス」: イギリスにおける産業革命の進展。重商主義から自由主義へ。アダムスミスの思想。 【第4回】 「宗教改革と職業の倫理」: マックスウエバーの「プロテスタンティズムと職業の倫理」の紹介。フランクリン自伝の紹介。宗教改革と経済発展の関係について。日本における職業の倫理(井原西鶴の世界。心学。二宮尊徳。そして明治の文明開化。儒教と職業の倫理。) 【第5回】 「アダムスミス以降の古典派経済学の発展、そして新古典派経済学へ」:リカード、セイ、マルサス、マーシャルなど。ワルラスの限界革命 【第6回】 「自由主義批判」:フリードリッヒ・リストの思想。幼稚産業保護論。 【第7回】 「社会主義思想の歴史(1)」:ユートピアからマルクスまで。 【第8回】 「社会主義の思想(2)」マルクスからロシア革命。社会主義国の成立。 【第9回】 「ケインズと修正資本主義」:大恐慌とケインズの思想。 【第10回】 「シュンペーターと技術革新」:シュンペーターの思想。 【第11回】 「戦後の経済思想概観(1)」:発展途上国問題と開発経済学 【第12回】 「戦後の経済思想概観(2)」:環境問題と環境経済 【第13回】 「戦後の経済思想概観(3)」:福祉国家論と公共経済学。 【第14回】 「市場の役割、政府の役割」: 市場経済はどこにいくのか。グローバリゼーションの中で、市場至上主義の問題の表面化とそれへの対応。 【第15回】 まとめ
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