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授業の内容(Course Description) |
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テーマ:宝暦・天明期の政治と社会 戦前、辻善之助氏は、宝暦から天明期(1751~88年)にかけての時代を「田沼時代」と呼び、それまでこの時代の政治と社会が、幕政の弛緩、賄賂の横行、物価の高騰、天災飢饉の続発、一揆・打ちこわしの高揚などを理由に暗黒時代と位置づけられていたのに対し、(1)民意の伸張、(2)因襲主義の破壊、(3)思想の自由と学問芸術の発達という新気運の勃興した時代として評価して注目された。そして、戦後この流れを受けて、とくに1960年代以後、この時代(近年では「宝暦・天明期」と呼ぶのが一般的)の研究が、(1)幕藩制社会の転換期を究明する上から、(2)明治維新を再検討するため、またその出発点を究明する上から再注目され、これを契機に今日まで、この時代に対するさまざまな研究がなされている。近年ではこの時代に花開いた文化が再評価されつつあるのも、その成果の一つであるが、これらの研究をふまえ、本年度は上記のテーマを設定し、講義を展開したい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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宝暦・天明期の政治と社会の具体的内容とその特質を理解できたか。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期ごとに実施する論述形式のペーパーテストにより成績評価(90%)するが、その際出席状況(10%)をも考慮する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:テキストは使用せず 参考文献:辻 善之助 著 『田沼時代』(岩波文庫)。 大石 慎三郎 著 『田沼意次の時代』 岩波書店。 山田 忠雄・松本 四郎 編 『宝暦・天明期の政治と社会』 有斐閣。 深井 雅海 著 『徳川将軍政治権力の研究』 吉川弘文館。 中井 信彦 著 『転換期幕藩制の研究』 塙書房 他。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 (7)前(春)期講義の要約 【第2回】~【第6回】 (8)宝暦・天明期の内容と分析 d.社会の動向 ―とくに天明期の飢饉と各地に勃発した百姓一揆と打ちこわしを中心に― 【第7回】 e.文化の動向 i新しい江戸時代の文化区分と宝暦・天明文化の位置 【第8回】~【第11回】 ii文化の諸相-とくに学問・思想・文学・絵画・教育を中心に- 【第12回】 f.田沼意次の失脚と松平定信の登場 【第13回】~【第15回】 (9)宝暦・天明期の位置づけと今後の課題 (10)後(秋)期講義のまとめ
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