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授業の内容(Course Description) |
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みなさんが在籍しているのは、高等教育機関である4年制大学である。学校に通うことの理由や目的、意義はさまざまにあるだろう。だが、卒業すれば大卒という肩書きを手に入れること、そしてその肩書きが就職を決める際にも無関係ではないこと、そうしたことは誰もが承知しているのではないかと思う。 学校教育は、人びとを選り分け、格差のある社会的地位へと送り込む働き―それを教育の選抜・配分機能という―をもっている。教育社会学は教育のもつそうした働きを、主要テーマのひとつとして分析してきた。言い換えれば、学歴社会の仕組みを明らかにすることを得意分野としてきた。そこでこの授業では、教育のもつ選抜・配分機能を切り口として、教育と社会の関わりを検討していきたい。内容はどちらかといえば卑近で下世話なものである。しかし教育の選抜・配分機能は、私たちの生きている近代社会の掲げる、自由や平等という理念と関連している。とはいえ、声高に理想を叫ぶ前に、現実はどのようになっているのかを見てみよう。そして、今までに明らかになったことから得られる示唆はなにか、考えていきたいと思う。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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教育の選抜・配分機能について学び、教育と社会の関わりを理解すること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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学期末試験(100%)によって評価するが、出席状況も参考にする(詳細は開講時に述べる)。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは用いない。総論的な参考文献は、天野 郁夫ほか『教育社会学(改訂版)』(放送大学教育振興会)。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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この授業は、教育社会学への入門的な案内である。教育社会学 IIでは、教育問題を中心に取り上げる。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 イントロダクション:教育社会学の対象と方法 【第2回】 近代社会と教育(1):近代社会の成立に学校教育が果たした役割 【第3回】 近代社会と教育(2):近代学校はどんな点でそれ以前の学校とは違うのか 【第4回】 近代社会と教育(3):自由・平等の理念と教育における選抜との関係 【第5回】 教育と選抜(1):日本社会の近代化と教育の機会 【第6回】 教育と選抜(2):日本社会の近代化と教育の機会(続き) 【第7回】 教育と選抜(3):機会の平等の阻害要因①―経済的要因 【第8回】 教育と選抜(4):機会の平等の阻害要因②―文化的要因 【第9回】 教育と選抜(5):文化的再生産論①―バーンステインの理論 【第10回】 教育と選抜(6):文化的再生産論②―ブルデューの理論 【第11回】 ジェンダーと教育(1):ジェンダー(社会的性差)と選抜・配分の関係 【第12回】 ジェンダーと教育(2):性役割の社会化と「隠れたカリキュラム」 【第13回】 教室の社会学(1):教師と生徒のやり取りに見る選抜過程 【第14回】 教室の社会学(2):生徒文化と学力 【第15回】 まとめ:近代社会の構造変容と教育
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