Web Syllabus(講義概要)

平成22年度

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テレビ文化論 II 阿部 輝彦
選択  2単位
【社会】 10-1-1350-0691-04

1. 授業の内容(Course Description)
 1920年アメリカで世界最初のラジオ局が開局し、日本でも5年後、東京・大阪・名古屋でラジオが第一声をあげた。放送網は全国に広がり、ドラマ、スポーツ中継、演芸などの番組が家庭に届けられ、ラジオは人々の暮しにとけこんでいった。一方テレビ放送は1953年にはじまる。その速報性、広範性、訴求性、臨場性などの特性から瞬く間に茶の間の人気者となり、家庭電化の進展で一家団欒の中心への推移してゆく。まさに20世紀は「放送の世紀」といえる。
 日進月歩の技術発展で生放送からVTRへ、モノクロからカラーにと多種多様な番組が生み出され、NHKの綜合、教育の全国展開、民放局の大量免許はその普及に拍車をかける。経営規模でも既存のメディアであるラジオ、雑誌、新聞を順次追い越し、巨大メディアとして君臨してゆく。
 21世紀も又テレビは相変らず揺ぎないメディアの王道と確信するが、この数年大変革の時を迎えている。IT革命とともに放送ビッグバンといわれる激震でアナログからデジタルに移行、来年7月24日には全てのテレビがデジタル放送に変換される。デジタル化が放送をどう変えてゆくのか、大きな課題の中で本質的なテレビの有様、立ち位置が問わされている。メディアの多様化に伴って視聴率競争が激化し、視聴率至上主義がばっこし、番組のクオリティ・品格が言及されている。当然ながら放送倫理、ジャーナリズム性、公共性、人権保護、青少年問題等テレビが直面する幾多の課題を再度検証し、テレビの原点に戻ってテレビ文化を理解・熟知することが肝要である。後期では前期のテレビの各論に立脚し、グローバルな観点から綜合情報産業としてのテレビ業界の他メディアとの関連、関係法案、経営環境、海外情報を含めて現在そして将来においてかかえ課題を検索、検討し21世紀のテレビの有様に迫る。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 文化の創造・世論の形成、政治・経済・社会の改革に必要な重要な役割をもつテレビの良き理解者、批評家として真のテレビリテラシーを修得してほしい。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席(50%)と課題レポート(50%)を綜合して評価します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 『テレビ局の内定がほしいなら、これは知っておけ』 池内正人著
  (元テレビ東京代表取締役副社長、元BSジャパン代表取締役社長)
 『テレビ局が潰れた日』
 『テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡』 石光勝著
  (元テレビ東京常務取締役)
5.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 グローバルな情報化社会の中で、巨大化し肥大化したテレビというメディアの21世紀での役割を再点検し検証することによって、生活者としての皆さん自身が放送文化、放送の公共性、客観性はどうあるべきか、共に考え、共に模索しながら追求していただきたい。カリキュラムは前期・後期30回を通しての設計になっているので、前期からの通して100%出席を要望する。
6.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 総論(多様化するメディアとテレビの立ち位置)
【第2回】
 メディア媒体の変遷
【第3回】
 テレビ産業構造図
【第4回】
 通信・放送法の制度と改革
【第5回】
 テレビ局と関連会社
【第6回】
 テレビ局と関係諸団体
【第7回】
 テレビ局とプロダクション・タレント事務所との関係
【第8回】
 テレビ局と広告会社
【第9回】
 地上波の経営環境
【第10回】
 広告マーケットの動向
【第11回】
 放送時間と視聴率&テレビ視聴の実態
【第12回】
 コンテンツビジネスとマルチユース展開
【第13回】
 海外放送事情
【第14回】
 地上デジタル放送の行方と放送環境の変化
【第15回】
 ブロードバンド時代の到来とテレビ局の取り組み