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授業の内容(Course Description) |
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この租税政策論 I・II では、個人の所得に対する税つまり所得税法について述べる。企業に対する税つまり法人税法については日本の税法 Ⅰ・II を受講されたい。 大半の個人は、給与所得が事業所得か年金かの何れかによって、定期的な所得を得て、生活している。所得税法では、これらをそれぞれ規定し、その規定されたものから、それらに共通な所得金額なるものを導き出し、さらに、この所得金額から課税所得金額なるものを導き出し、この課税所得金額に法定税率を乗じて税額を算出する、というようになっている。この過程は、公平の観点から定められている。特に、高所得者には重い負担を課し、逆は逆、というようになっている。この租税政策論I・Ⅱでは、このような所得税法について述べる。つまり、所得税法の原則的な部分について述べることにする。 なお、所得税法は、自営業者の事業所得については、企業活動の側面についても定めているが、これは法人税法と殆ど同じであり、従って、事業所得の企業活動の側面についての税は、日本の税法 I・II で述べることにし、この租税政策論 I・IIでは、もっぱら、給与所得や年金との関係でのみ、事業所得に触れることにする。 所得税の税額は、課税所得に法定税率を乗じて算出されるが、春学期には、給与収入金額から、この課税所得が算出される給与所得控除について、主として述べる。法定税率が適用される前にも、格差を縮小する措置が取られていることを明確にする。いわゆる垂直的公平を図る措置を明確にする。課税所得と法定税率の関係については、秋学期に述べる。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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学生の皆さんは、卒業して社会に出たとき、仕事の上において、或いは、広く人生において、様々な場面に遭遇する。それらの場面それぞれを、臨機応変に分析でき、対策を立てられるようにする。原因と結果、目的と手段などを明らかにし、対策を立てられるようにする。自分のアタマで考えられるようにする。暗記では、分析できない。様々な場面それぞれを、自分のアタマで、考えて、判断でき、対策を立てられるようにする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験による。講義したことから出題する。出欠は取らないが、出席した方が回答し易い、そんな出題を行う。例えば、文章の穴埋め問題では、出席していない人にとっては、文章がつながらないチンプンカンプンなものであろう。出席している人にとっては、普通につながるであろう。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト 河野 惟隆『法人税法・所得税法の経済学』税務経理協会。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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日々の経済現象には、原因があり、過程があり、結果があり、それに対して、対策がある。その対策が、また、因となり、果となってゆく。このように、経済現象は、繰り返す法則として、存在する。学生の皆さんには、経済学は、何よりも、経済現象を、因果関係として明らかにし、対策を立てる、学問である、と理解してもらいたい。この講義では、日本の現実の経済の中における、所得税法の因果関係と対策について述べる。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 所得税法の概観 【第2回】 所得税額の計算順序 【第3回】 課税標準 【第4回】 給与所得控除(1) 【第5回】 給与所得控除(2) 【第6回】 給与所得控除(3) 【第7回】 給与所得控除(4) 【第8回】 公的年金控除(1) 【第9回】 公的年金控除(2) 【第10回】 退職所得控除 【第11回】 山林所得の算出 【第12回】 損益通算等(1) 【第13回】 損益通算等(2) 【第14回】 10種類の所得 【第15回】 春学期のまとめ
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