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授業の内容(Course Description) |
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日本経済は2010年も欧米諸国の景気回復、円高、中国を始めとするアジア諸国の金融引締めの動きなど不確定要因が多く、実体経済の急激な回復は期待出来ないと見込まれているが、どんな時代でも起業や企業の再生と成長には直接金融と金融機関を通じた間接金融の双方が重要な役割を担っている。 プライベート・エクイティー・ファンドは直接金融形態で企業に必要な資金を提供するだけではなく、人も口も出すことにより企業の改革を促し、企業の復活や新たな成長をもたらす。カネボウやダイエーの再生と成長に関わったのもプライベート・エクイティー・ファンドであり、日本のグリーや米国のマイクロソフト、ヤフー、スターバックス・コーヒーもベンチャー・ファンドが起業資金を出資することで成長した。 しかしながら日本ではプライベート・エクイティー・ファンドにハゲタカのように企業を食い物にして利益のみを追求する、あるいはファンドという形態が不正行為に結びつく否定的なイメージも依然として拭えていない。 プライベート・エクイティー・ファンドがリスクマネー供給者として金融機能をどの様に果たし経済活性化をもたらすのか、現在の金融危機の影響をどのように受け、どう対処しているのかなど、機関投資家としての生きた現場経験を伝え、次世代を担う学生諸君がファンドとは何かを正しく理解しコーポレート・ファイナンスや経営を学ぶキッカケとなることを期待する。 秋期はバイアウト・ファンドによる企業価値の向上と国内外のプライベート・エクイティー・ファンドや機関投資家の実際について具体例を学び、将来の企業人として、機関投資家として、またファンドの投資プロフェッショナルとしてキャリア選択を考えるキッカケを提供したい。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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新聞・雑誌などで報道されている経済情勢・企業活動・国内外のM&Aの背景を理解するのは社会人として必要不可欠だが、更にこうした問題について自ら考え、意見を述べる力をつける。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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原則として5回の授業が終わる毎に理解度を確認のため授業内小テストを行います。授業出席で50%、小テストで50%の総合評価をします。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:なし 参考文献:野口 均著『ファンドの時代』千倉書房 松木 伸男・大橋 和彦・本多 俊毅 著『バイアウトファンド』中央経済社 佐山 展生・山本 礼二郎著『バイアウト 産業と金融の複合業務』日本経済新聞出版社
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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新聞を読むことを心がけて下さい。買収・合併(M&A)は経営の選択肢であるが、プライベート・エクイティー・ファンドもM&Aのプレーヤーの役割を担っている。金融ビジネスとしては近年注目され始めた分野なので、まだまだ正しく理解されていない。勉強すれば今なら実社会からは役立つ知識を持っていると評価されるしこの分野での第一人者にもなれる分野である。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 プライベート・エクイティー・ファンドと金融など 【第2回】 金融のパターン、直接金融・間接金融、金融市場・資本市場 【第3回】 資産と負債、現金と預金、貸出と出資、債権と債券 【第4回】 プライベート・エクイティー・ファンド概観 【第5回】 ベンチャー・キャピタル・ファンド 【第6回】 バイアウト・ファンド 【第7回】 メザニン・ファンド、ファンド・オブ・ファンズ、セカンダリー・ファンド・オブ・ファンズ 【第8回】 国内外のプライベート・エクイティー・ファンドの実際 【第9回】 バイアウト・ファンドによる企業価値向上(リスクとリターン、事業計画と企業価値評価) 【第10回】 バイアウト・ファンドによる企業価値向上(買収・資金調達) 【第11回】 バイアウト・ファンドによる企業価値向上(企業改革、インセンティブとガバナンス) 【第12回】 バイアウト・ファンドによる企業価値向上(投資家の役割とバイアウト終了) 【第13回】 年金、金融機関、大学基金など内外機関投資家の動向 【第14回】 機関投資家のプライベート・エクイティー・ファンド・プログラム、投資プロフェッショナル 【第15回】 補講とまとめ
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