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授業の内容(Course Description) |
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外国法特講A・B は欧州連合(EU)の沿革、制度及び判例を学ぶものである。 2009年12月にEUの「大統領」と「外相」が選出されたというニュースは耳新しいところである。 EUは国際機構以上連邦国家未満の存在であるとされる。国際機構の代表格である国際連合は独自の権力的な基盤をもたないが、EUは、経済を中心とした一定分野の主権を加盟国から委譲されており、独自の権力をもつ。その面では連邦国家に近い。しかしながら、例えば外交・軍事・警察等に関する主権は依然として加盟国に残されていて、EUには権力基盤がない。この面では国際機構と同様である。 従って、EU「大統領」の権限はオバマ大統領やサルコジ大統領のそれとは異なるものであるが、その創設は欧州統合の進展を示すものと言えよう。 EUの制度と法律を学ぶことは、以下の点で意義深い。 (1)鳩山首相の提唱する「東アジア共同体」構想を進めるうえで参考になる。いわば成功した先例である。 (2)EU市場は世界最大の単一市場*で、我が国の重要な貿易相手先である。日本企業が取引するためには、その法制度の知識が不可欠である。*その規模はGDP1600兆円で米国以上、我が国の3倍超である。 本講義は、EUの前身であるECを含めた沿革と制度及び過去に生じた事例等を概観するものである。講座の性質上法律的側面からのアプローチが主体であるが、歴史、地理又は政治的な側面もできるだけ考察するので、法律的側面以外に興味をもつ学生の受講も歓迎する。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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外国法特講Aでは、歴史的又は地理的な視点をもって、国際機構が連邦国家に近づいていくプロセスを学び、欧州連合の主要な制度を理解する。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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期末にテストを実施するか又はレポートの提出を求め、その結果により評価する。新学期のできるだけ早い時期に詳しく説明する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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適宜プリント等の資料を配布する。 参考文献:庄司克宏著『EU法 基礎篇』岩波書店
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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将来的には地域統合が生じる可能性が強いから、身近なものと考えて勉強して下さい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 講義の進め方 【第2回】・【第3回】 欧州連合(EU)の概要 【第4回】・【第5回】 歴史及び地理的背景 【第6回】 欧州石炭鉄鋼共同体から欧州連合への展開 【第7回】・【第8回】 機関 【第9回】 法律制度 【第10回】・【第11回】 裁判制度と欧州司法裁判所の判例 【第12回】 財政政策と共通農業政策 【第13回】・【第14回】 共通通貨ユーロと欧州中央銀行 【第15回】 まとめとテスト
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